"Nobody's perfect"
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言って、指した方向へ駆けだしていった。
その内、少女の方は凄まじい運動神経を見せている。
あっという間に青年を振り切り、一瞬で見えなくなった。
「あ、可奈美ちゃん! 待ってくれ!」
青年の叫び。
そして、二人に遅れてもう一人。黒いスーツと赤系統のシャツを着た青年もまた、彼らの後を追うように大股で歩いている。
首からカメラを下げた青年は、すれ違いざまに振り替えった。
「……お前……っ!」
「どうした?」
だが、首からカメラを下げた青年は何も言わない。
やがて首を振り、
「……いや。そんなわけないか」
「……どこかで……会ったか?」
「さあな? だが……あんたには、感謝を伝えなければならない……そんな気がする」
カメラを下げた青年はそれだけ言って、二人の後を追いかけていった。
白い帽子を目深に被り。
「何だ。いるじゃないか」
安心したうにほほ笑む。
そして。
見上げた時、桜の花が風によって揺れていた。
桜の花びらが少しずつ散っていくが、それと同じように、自らの体が少しずつ崩れていくのが見えた。
「春か……そういえば、俺にも孫ができた、らしいな……」
ならば、桜が似合う名前だろうか。丁度、自らの娘が季節の名前を取り入れているのと同じように。
「どんな名前だろうな……せめて、名前くらいは知りたかった」
そうして、目深になった景色が、罪を数える探偵の、最期の一言となった。
だが、消える最期の瞬間まで、は鼻歌を続けた。
___さぁおまえの罪を数え___
___魂に 踏みとどまれ___
___愛する者を守るために___
___立ち向かえばいい___
___立ち向かっていけばいい___
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