"Nobody's perfect"
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いる。
だがスカルは、帽子を外し、ハルトへ向き直る。すると、彼の骸骨の仮面だけが粉々に消失し、元の渋い男性の顔になった。
「気にするな。何度も言っているが、俺はもとより死人だ。娘と孫に会えないのは残念だが、死んだ俺にできることは、今を生きるお前の力になることだけだ」
「でも……スカル……アンタは……」
だが、ハルトにはそれ以上かける言葉が見つからなかった。
そんなハルトへ、スカルは言葉をかけた。
「お前……名は?」
「俺は……」
ハルトは、右手を抑える。
数回、深呼吸を重ねた後。
「松菜ハルト。そして……ドラゴン」
「……良い名だ」
スカルは帽子を被り直し、ハルトに背を向ける。すると、首から下の部分もまた砕け、元の白い紳士服が露わになった。
「さあ。仲間に会いに行け。お前のことを、しっかり伝えろ。お前が、本当の仲間を得るために」
「……ありがとう」
果たして今の体は、あとどれくらい持つのだろうか。こうして使命を放棄して歩いているのに、あの自称天使が現れないということは、それほど長くはもたないのだろう。
そんなことを考えながら、ただずっと山道を歩いている。
すでに偽りの力で蘇った体は、あちらこちらに異常が来ている。白いスーツの下に隠した体は破片のようにヒビが入り、中から一部が欠け落ちていく。
だが気分がいい。鼻歌でも歌おうか。
「あ、あの!」
その時。
山道の反対側から、少女が走って来た。
最後に会った娘よりは年上だが、送られてきた最後の写真を並べたらおそらく同じ年代に見えるだろう。ボブカットの茶髪と、黒いリボンで結んだお下げが特徴だが、その手に持った日本刀らしき長物には少し驚いた。
彼女はこちらを見上げて尋ねた。
「男の人、見ませんでした? 私より年上で、革ジャンを着ていて……背は、これくらい!」
少女は、自分より頭一つ上に手を掲げる。
「可奈美ちゃん! 待ってくれ!」
そして、少女の後を追いかけてくる青年。
こちらは、茶髪のウェーブが特徴の若い男だった。少女とはかなり年が離れているように見える。肩で呼吸しながら、彼もまたこちらを見上げる。
「はあ、はあ……! あ、えっと、どうも! あの、人を探しているんです! 男の人で……」
「真司さん、今私が伝えた!」
「ああ、そう……」
落ち着きのない二人を見ながら、口に笑みを浮かべた。
「……ああ。見たよ」
「本当!?」
「ど、どこで!?」
その答えに、少女と青年は目を輝かせた。
「この先の、山の中腹にいた。早く行けば、会えるだろう」
「ありがとう!」
「っしゃあ! あ、サンキューな!」
二人は、礼を
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