第七十四話
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で答える。
「………転移魔術でしょうね。…いえ、そもそも魔術じゃないのかもしれないわ。呪力を感じなかったもの」
魔術師の世界では人一人を空間転移させる事は出来なくは無いが、呪具や秘薬、触媒の用意と、かなりの労力が掛かる。
どれも安い物ではない。そんな物にお金をかけるくらいならば少し不便かもしれないが車や飛行機を利用した方が手っ取り早い。
それをユカリは何の気無しに使用したのである。
「ですなぁ……いやはや、これは益々参りましたな…」
「彼女が秘匿を望むなら、それを実行するべきでしょうね。それに、まだ若輩とは言え護堂はカンピオーネなのよ。その彼を一方的に打倒しうるのが一般人と言う事はこっちの世界に要らぬ火種を撒く事になるわね」
「でしょうな…もしかしたら自分達もなどと思われては困りますな」
「ええ、この件は慎重に対処しましょう。あなたも貴方のボスの器量が浅いのならば報告を控えた方が良いわよ」
「いえいえ、私の上司は中々の見識をお持ちですから。ユカリさんと同じ結論を出すでしょうな」
「そう、ならばこの事は緘口令を敷きましょう。アテナは護堂が追い払った。そう言う事にするのが一番波風が立たないわ」
「了解しました。そのように報告してみましょう」
神を殺せば殺した神の権能が手に入る。護堂がアテナの権能を手に入れていないのを隠すのは難しいかもしれない。故に追い払ったと言う事にしか出来ない。
「魔王たるカンピオーネを倒す人間。新しい称号が必要かしらね。…最初に発見されたのが日本なのだし、日本語ではなんて言うのかしら?」
と、エリカの問いに甘粕が答える。
「そうですなぁ。…勇者ですかねぇ、やっぱり」
この時甘粕の頭に浮かんだのはナンバリングを今でも重ねている日本のTVゲームである。
魔王を倒すのはいつだって勇者なのだ。
「勇者?ヒーローの事よね?」
「いえいえ、ヒーローは日本語では英雄になります。現在では同一視されていますが、勇気ある者の事をさす言葉ですね」
「なるほど。勇気ある者…か。いい言葉ね」
と、エリカがが頷いたとき、遠くから息を切らせて走ってきた祐理。
「はぁ…はぁ…はぁ…くっ…草薙さんはっ…はぁ…大丈夫…なんですか?」
「大丈夫よ。カンピオーネだもの。このくらいの怪我なんて直ぐに治るわ」
「そうですか…良かったです。……あの…ユカリさんは…」
「帰ったわ」
「そ…そうですか…魔王たる草薙さんが負けましたか…」
「ええ。しかし、祐理、あなたもこの件については口をつぐみなさい。頭のいいあなたには分かるわよね?」
「……えと…はい、わかりました」
…
…
…
家に転移で帰ってきた
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