第一部
第四章 いつだって、道はある。
イタチ
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幻術を用いて見せ付けられた光景を、血を、恐怖を。
やめて、と幻術の中のサスケが掠れた声で絶叫をあげる。
「うわぁあああああああああああ!!」
現実のサスケのあげた絶叫に、カカシはきっとサスケも同じような術を使われているのだと悟った。ナルトが大きく目を見開く。暫く沈黙していたサスケが、再び絶叫をあげる。そんなことが何回も何回も繰り返された。幻術でおぞましいものを見せられ、叫び、おぞましいものを見せられ、叫び、そんなことが何度も、何度も。
「相変わらずですねえ……弟相手に『月読』ですか」
「……弟?」
ナルトが目を見開く。どういうことだってばよ、と声を震わす彼に、自来也が説明した。
「うちはイタチ――あいつはサスケの実の兄にして、うちは一族をたった一人で滅ぼした抜け忍じゃ」
六歳でアカデミーを卒業し、十三歳で暗部に入ったうちは一族の天才――そしてうちはサスケを除く一族を虐殺した後里を抜けた、Sランクの重罪人。
「いい加減にしやがれ、てめぇえええ!!」
ナルトがサスケの方へと走り出す。自来也が印を組んだ。と同時に、走り出したナルトも、それを追いかけようとした鬼鮫も動きを止めた。動きを止めたというよりは、動けなくなってしまったのだろう。ぬらぬらとしたピンク色の肉が盛り上がり、突如として近くを包囲する。
「忍法、蝦蟇口縛り」
ずぶずぶと、サスケが自来也によって召喚された大蝦蟇の食道の中に沈んでいく。イタチがぱっと手を離した。ふと鬼鮫に視線をやると、その足もまた食道に埋まっている。水牢の術が解けて、自由を取り戻した上忍達が立ち上がった。ハッカとカカシはとても戦える状態ではないし、アスマも早く休んだほうがいいだろう。
だが自分が出るまでもないらしい、と紅は自来也の後姿に頼もしさを感じながら、視線を鬼鮫とイタチにやる。これでもう大丈夫だろうと、そう思っていた。
「鬼鮫、来い」
鬼鮫が頷き、足と鮫肌を無理やり食道から引き抜くと、イタチと共に走り出した。二人が、と声を零す紅に、自来也が笑う。
「わしの術じゃ、安心せい」
今までどんな奴も、この食道から逃れることは出来なかったのだ。食道の内壁が盛り上がり、猛スピードで鬼鮫とイタチ、二人を追いかけていく。二人よりも素早く盛り上がっていく食道の内壁が、二人を押しつぶそうとする。
「……どうします、イタチさん?」
「…………」
す、とイタチが目を閉じて、また、開いた。
血がするりと流れ落ち、そしてそれと同時に黒い炎が吹き上がった。
「――――!?」
自来也が目を見開き、上忍達が一斉に走り出す。見れば二人の姿は既になく、破壊された箇所にはまだ僅かに黒い炎が残っていた。
――よもや……この壁をつき破
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