第五章
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「もうね」
「それで西武負けて」
「松井監督意見書出すらしいわ」
「最近審判酷いわよね」
「あんたもわかるでしょ」
「私阪神だけれど」
澄香はこのチームのファンであるのだ、尚彼女の今の家族は全員そうであるがお米屋さんはヤクルトでクリーニング屋は中日だ。幸いなことに夫の会社の人にもご近所にも邪悪の権化巨人を好きな者はいない。
「二軍戦で審判が酷い判定したことあったわ」
「二軍戦でもなのね」
「それでその時二軍監督だった平田さんがね」
平田勝男、仇名をミッキーという。
「激怒したのよ」
「そうしたこともあったのね」
「だから私もね」
「最近の審判についてはなのね」
「思うわ、AIにしてもね」
審判をというのだ。
「いいかもね」
「そうね」
友人も反対しなかった。
「それは」
「野球のことだって考えるでしょ」
澄香はあらためて言った、見れば二人共飲んでいる紅茶は既に空になっていて話に専念し続けている。
「私今は専業主婦だけれど家事のこともね」
「考えるのね」
「家計のこともね、お義父さんはお義母さんがいつも傍にいてくれて」
「介護してくれてるのね」
「付き添いみたいにね」
「脳梗塞の後で」
「脳梗塞になられたのが何年か前で」
それでというのだ。
「必死にリハビリされて」
「今じゃすっかりなの」
「お元気で。けれどね」
「一度倒れられたから」
「用心が必要でね、家庭円満だけれど」
それでもというのだ。
「何かとね」
「色々考えることはあるわね」
「家庭にいてもね」
「そうよね、そうそう頭の中がそうしたことばかりとか」
「そうした作品だけよ」
こう言い切った。
「本当にね」
「それであんたも」
「そうよ、だから浮気とか不倫とか」
「そうしたことはなのね」
「する人はするでしょうけれど」
「まあそう何処でもじゃないわね」
「結婚していてもね、むしろ結婚していたら」
常識がある人間ならというのだ。
「尚更よ」
「しないわね」
「離婚とか裁判とか慰謝料とか」
「そうしたリスク考えたら」
「しないわよ」
「そうね、じゃああんたは明日は」
「うちの人帰って来るから」
だからだとだ、澄香はその目に何かを宿らせて話した。
「その時はね」
「夜はなのね」
「もうね」
ここでにたり、と不気味とさえ見える笑みで語った。
「私もだしね」
「したいのね」
「だからね」
「楽しむのね」
「思い切りね、だからね」
「明日の朝が楽しみね」
「そうなの、実はね」
くすりと笑ってこうも言った。
「色々とテクニックもね」
「磨いてるの」
「そうしているから」
だからだというのだ。
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