罪
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お前を蘇らせた天使様だ』
「天使? とてもそうには見えないが?」
『天使様は天使の顔して現れねえもんさ』
「……」
ハルトは、投げやりに立ち上がる。
ふらふらとしながら、ハルトはようやく紳士の顔を見つめた。
ハルトの知り合いを比べれば、おそらくタカヒロよりも年上だろう。
『じゃ、頼むぜ名探偵さんよ。しっかりと依頼をこなしてくれよな』
スカルはコエムシとハルトを交互に見やる。
そして、コエムシよりも前に歩み出て、ハルトを見つめた。
「何やらよくわからんが……どうやら俺は、お前と戦わなければならないらしい……」
「の、ようだね」
どこか他人事のように、ハルトは吐き捨てる。
スカルは静かにハルトを見つめたまま動かない。
「……何もしたくない、といった顔をしているな」
「色々あってね」
ハルトはそう言って、再び手を広げる。
「ほら。抵抗しないから。煮るなり焼くなり好きにしてよ」
「……未来ある若者を傷付けるのは後ろめたいのだが……」
『ああ、安心しろ。アイツは人間ですらねえから』
コエムシはそう言って、その無機質な目をハルトへ向けた。
『なあ? バケモン?』
バケモン。
それは、明らかにハルトを指した言葉だった。
「化け物……か」
赤い眼となったハルトは自嘲する。
「そうだね……ご紹介の通り、俺は人間じゃないよ。だから、何も……遠慮する必要もないよ」
ハルトは顔にファントムの紋様を浮かび上がらせる。
赤い眼のみならず、変化の兆しを見せるその体。これを人間だと思う者はいないだろう。
「もう……どうでもいいんだ。これを知られてしまった以上、もう俺の居場所はどこにもない」
「……自分を憐れむな……」
帽子のツバ、その切れ目から紳士はハルトを見つめる。やがて、彼は帽子に手を当て、ゆっくりと目深に下げた。
「___一つ、俺はいつも傍にいる仲間の心の闇を知らなかった。
___二つ。戦う決断が一瞬鈍った。
___三つ。そのせいで街を泣かせた」
「……?」
突然の彼の独白に、ハルトは唖然とした。
だが、紳士は続けた。
「これが俺の罪だ」
「罪……」
彼はそのまま、黒い何かを取り出す。
ほとんどが黒一色で出来た機械で、その中心から右側には赤い部品が取り付けられている。
それは、紳士の腰に装着されると、その腰を一回りするベルトとなる。
「俺は自分の罪を数えたぜ……」
追加で取り出したのは、USBメモリ。
その中心部分には、大きくSという文字が描かれる。横向きの頭蓋骨なのに、それがSにも読めるのは素晴らしいデザインだと言えるだろう。
彼がそのU
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