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黒崎一護の異世界物語
弾き出された一護
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刀になっている事から霊力の使い方が上達したという事だ。

「ちっ、今は考えている場合じゃねぇな。早く行かねぇと!!」

一護は死神にしか使えない高等歩法術『瞬歩』を使って、まるで瞬間移動したかのようにその姿がその場から掻き消える。

ビルの屋上に着地した一護は、其処から一気に跳ぼうと力んだ瞬間――――体が重くなった。

「なん………だと………!」

そう。死神状態だった筈が、ビルに、いや……地面に触れた途端に元の人間の体になったのだ。

まるで、元の体が自分のいた世界から弾き出されたかのように。

意味が解らなかった。今さっきまでの自分は確かに霊体だった。だが、今はどうだ?肉体がある。しかも………小さな6歳だった頃の自身の体に。

義骸でも無い正真正銘自身の子供時代の肉体。

「くそがっ!!」

今は考えている場合ではない。一刻も早く虚を昇華させて、襲われている人達を助けねば。

一護はポケットに括り付けられている骸骨を象った板のような物『死神代行許可証』を掴むと、幽体離脱したように元の体から黒い和服……死覇装に身を包み、背に自身と同じ長さの長刀(大人から見れば短い)を背負った一護が現れる。

普通の白いシャツにジーパンの一護の肉体は、力尽きたように倒れた。のを、一護は抱え、ビルの屋上から虚のいる方向へ向けて移動する。









虚の気配のすぐ近くで極力霊圧を下げた一護は、安全な場所に自分の肉体を置いて其処から跳ぶ。

上空に飛び上がった一護の目に写ったのは………虚の手から小さな女の子を護る為に腕を広げた、女の子に良く似た少女。

その光景を見て一護の脳裏に浮かぶ場面。

自分が………自分の不注意のせいで虚から自分を庇って死んだ母の姿が浮かび上がった。

「………もう誰にも」

自分が父や妹から母を奪ってしまった。あの時の光景が嫌でも浮かぶ。

「もう誰にも………あんな思いを………」

死にたかった。大好きな母を殺してしまった自分を許せなかったから。

「もう誰にも………あんな思いを………させてたまるかあぁぁぁぁぁ!!!!」

あんな小さな女の子に、自分のような思いをさせる訳にはいかない。

だから。

「やらせるかぁぁぁ!!!!!」

一護は、小さな女の子を護る少女に手を伸ばしていた虚を鞘に収まったままの斬魄刀で吹っ飛ばした。










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