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黒崎一護の異世界物語
転移する一護
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●●県空座町

其処に二人の異形が存在した。

1人は茶色の長い髪をオールバックにして一房だけ垂らした白い衣に胸の中心には黒い宝玉が埋め込まれ、背に畳んだ六対十二翼の翼を生やした右腕を刀と融合させた男。

それに相対するは、少し長めに伸ばしたオレンジ色の髪にブラウンの瞳を持ち、黒いロングコートと着物を合わせた服に胸元を大きく開け、右腕だけを肩から破け、その右腕に黒い鎖を巻き付けて黒い革のようなベルトのような物で雁字搦めにした異形の男と同じく右腕と漆黒の刀を融合させた青年が立つ。

白い異形“藍染 惣右介”が口を開く。

「………黒崎一護。本当に君は黒崎一護か?」

藍染の言葉に黒い異形“黒崎 一護”は興味を示さず、瓦礫に倒れる男に目を向ける。

血を吐き倒れ伏す男“市丸 銀”を見詰めて藍染に目を戻す。

「………どういう意味だ?」

「本当に黒崎一護なら落胆した。今の君からは霊圧を全く感じない」

藍染はまるで虫けらを見るかのような目で一護を見る。

「霊圧を抑えていたとしても全く感じない事などあり得ない」

そこで一度言葉を止め、呟く。

「君は進化に失敗した。私の与えた最後の機会を、君は取り零したのだ」

そう言い藍染は一護に手を向ける。

「――残念だ。黒崎」

「藍染」

が、その言葉は一護に途中で止められる。止められた事に藍染の目は自然と細まる。

「場所を移そうぜ。空座町(ここ)では俺は戦いたくねぇ」

だが、そんな一護の提案を受ける藍染ではない。

「………無意味な提案だな。それは“私と戦う事のできる力を持つ者のみが”口にできる言葉だ。案ずる事は無い、空座町が破壊される迄も無く君は――――」

そこで藍染の言葉は一護により遮られる。藍染の顔を掴んだ一護は普通に藍染を音速をゆうに突破した速度で空座町の外れまで押し出す。

「な………に………!?」

そのまま一護は藍染を地面に押し落とす。地面が吹き飛ぶ程の力で叩き落とされた藍染は自身の顔を押さえながらあり得ないように呟く。

「…馬鹿な………私が………力だけで………」

一護も地面に降り、藍染へ目を向ける。

「………始めようぜ藍染。一瞬で終わらせてやる」









「……一護で終わらせてやる………」

藍染はその言葉をなぞる。そして馬鹿にするように語る。

「―――成程、理解したよ黒崎一護。君が霊圧を失った理由を」

その言葉にも一護は眉すら動かさない。藍染の独白が続く。

「君は“霊圧を失くした”んじゃない、“霊圧を棄てた”のだ。どういう術を使ったのかは知らないが、君は全ての霊圧を自身の霊体の膂力に変えた。それは腕力であり、脚力であり、握力であり、
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