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6月の日曜日、私達5人は集まって、芸術文化ホールを目指した。途中の駅まで地下鉄で、それからは20分程歩くのだ。
「やっぱり、女って歩くの遅いのー」て、白木屋君はぶつぶつ言ってたけど
「なによー キラちゃんには 優しいんでしょっ」と、私は言い返していたのだけど、それから、白木屋君達男の子は私達の後ろを歩くようにしてきた。これが、白木屋流の優しさなのか。
大会は予選、本戦、全国大会とあって、バンオリンだけでなく他の楽器もあるのだ。それも、園児から大学生までクラス分けして競うらしい。キラちゃんは、小学5年から参加しているのだが、中学1年の時に初めて、予選通過できたと言っていた。だけど、まだ、全国大会には行けて無いということなんだ。
今回も、指導の先生には「予選は大丈夫よ」と、後押しされて望んでいると言うことだった。他の楽器なんかもあって、園児からなので、キラちゃんが呼ばれたのは、お昼近かったのだ。
ゴールドのシルクで少し膝上のフレァーなワンピース。頭の2か所を金色リボンで結んでいて、ハッキリとした目立つ顔立ちで、けっして、お洋服の色に負けていないのだ。
私達は小さな横断幕を用意してて [がんばれ キラキラ星] 真っ黒なまつ毛の眼を大きく開いて、私達のほうを見詰めていた。壇上から見えているのかはわからないが、お辞儀をして、演奏は始まった。私達には、なんの曲なのか、誰もわからないのだけど、優しくて柔らかな曲で、どうして、あんなに幼くて可愛い顔をして、他人の心を癒すような音を奏でてくるのだろうかと、考えていて、終わった時、感激で私はしばらく動けなくて、周りの拍手につられてようやく拍手していたのだ。
そして、結果発表まで時間が空くということだったのだけど、私は夜のお店のことがあるので、先に帰るからと言って・・・山水も一緒に出てきた。ついででも無いんだけど、御苑の中を二人でぶらぶらと歩きながら帰ってきた。手を繋いで・・。
夜に亜里沙から「予選 とおったよー 次は、8月だって ねぇ 白木屋君 発表聞いて、涙ぐんでるのよー あの子 キラちゃんのことになると人が変わるのよねぇー」と、連絡があったのだ。
そうかー やっぱり キラちゃんのこと 一生懸命に想ってるんだーぁ あのガサツな男が・・。山水よりも、喜怒哀楽が激しくて楽しいかもねと・・・お好み焼き屋さんのおばぁちやんが言っていたように、キラちゃんは見るところは見てるのかもネ と思い出していた。
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