松菜ハルト
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に、水で作られたレイピアが握られていた。水を滴らせるそれは、さやか自身の体から水を吸い出し、そのまま新たな剣先を形成していく。
「本当に、よく半年近くも隠していられたよね。ずっとファントムの力を封印してきたの?」
「いや……実は、結構使ってたよ。ファントムの力」
「へえ?」
さやかが眉を吊り上げた。
ハルトは続ける。
「見滝原中学で、あの結界が出来た時も……ファントムの力で突破した」
「ああ、あの時」
結界。
それは、アサシンのマスター、我妻由乃が、奪い取ったウィザードの力で作り上げたもの。見滝原中学全体を支配したそれは、学校どころか見滝原全土を混乱に陥れた。
「それに、さやかちゃんがファントムになる直前……俺、指輪全部落とした状態で、アマゾン達に食われかけてたんだ。それを、ファントムになって全員焼き殺した」
人が変貌した人食いの怪物、アマゾン。
事件の中心地である見滝原中央病院に突入した時、指輪のホルダーが破壊され、一時的にウィザードに変身出来なくなったことがあった。さらに、そのタイミングでアマゾンたちのラッシュにも見舞われ、手足に食らいつかれ、どうしようもなくなった時。
ドラゴンのファントムとなり、フロアごとアマゾンたちを焼き尽くしたのだ。
「……ゲートが深く絶望した時、その心から体を食い破り、ファントムが生まれる」
唐突に、さやかがそれを口にした。
一瞬その理由を考えたハルトは、すぐに察した。
「そう。正確には、ゲートが強く絶望した時、近くに膨大な魔力の塊がいれば……体内で生まれたファントムが、ファントムの魔力と共鳴して、宿主を食らって表に出てくる」
「あたしが絶望したのは、目の前で恭介がアマゾンになって絶望したから」
あの時のことを、さやかも思い出している。
ハルトは頷いた。
「……そう。だから君は、俺が絶望させたからファントムになったようなもんだよ」
「そういう言い方は止めてよ。アンタがいなかったら、あたしは恭介に殺されてたんだから。結果的には、ファントムになるしか、生き延びる未来はなかった」
だがさやかは、手にしたレイピアを決して上げることはない。
それどころか、彼女の表情は「続けて」と促しているように見える。
「……ムー大陸での戦いでは、俺は魔力切れに陥った。だから、ファントムの力を発揮して、宇宙人……バングレイを倒した」
「ああ……どおりで」
さやかは納得したように頷いた。
「あの時さ、地上にもムー大陸のこと流れていたんだよね。何でボスが入れ替わったんだろうって思ったよ」
「ああ、バングレイとブラジラのことは地上でも流れてたんだっけ」
ムー大陸での戦いが、
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