第二章
[8]前話
「ちょっとね」
「次のドライブインまで我慢出来ないんだ」
「そうなの、どうしようかしら」
「どうしようって」
夫は運転を続けながら妻に答えた。
「ドライブインでないとね」
「おトイレないわよね」
「そうだしね」
「けれどもうね」
いよいよ切羽詰まった顔になってだ、妻は言った。
「我慢出来ないわ」
「そうなんだ」
「どうしようかしら」
「我慢出来ないなら」
夫はここで言った。
「今夜で周り見えにくいし車も少ないし」
「それでなの」
「ちょっと端に停めるから」
そうするからだというのだ。
それで道路の端でね」
「こっそりと」
「そうする?」
「もう限界よ」
これが妻の返事だった。
「だからね」
「それじゃあ停めるね」
「お願いするわ」
最早それしかない、妻はこう言ってだった。
夫が高速道路の端に停車するとすぐに車から出てその陰に隠れてだった。
そうしてそのうえでことを済ませた、それが終わってから車に戻ってほっとした顔で言ったのだった。
「助かったわ」
「よかったね」
「ええ、けれどね」
それでもとだ、一恵は言った。
「誰にも言えないわね」
「このことはね」
「そうよね」
「うん、二人だけの秘密にしよう」
夫は妻に優しい声で言った。
「そうしよう」
「そうね、それじゃあね」
「このことは内緒にして」
「今からね」
「子供達を迎えに行こう」
夫婦でこう話してだった。
夫は妻がシートベルトをかけると車を発進させた、そして自分の実家で息子と娘を引き取ってだった。
寝たままで後部座席に乗せてシートベルトをかけてから自分達のマンションに帰った、それから抱き抱えた子供達を寝かせてからそれぞれシャワーを浴びて寝た、高速道路のことは二人は誰にも言わなかった。
高速道路で急に 完
2023・7・18
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