第3部
ルザミ
ナギの夢
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思いがけずナギの母親であるフィオナさんに出会ってしまったが、次の目的地であるジパングの場所もわかり、さらにオーブに関する情報も得ることが出来た。
そしてさらに彼女のご厚意で、彼女の家に一泊することになり、フィオナさんが島の人を呼びに行っている間に、私たち四人は部屋の片付けと掃除をすることになった。
掃除をしてから小一時間ほどで、フィオナさんちのリビングは、先ほどとはうって変わって広々とした部屋になった。
「さすがにこれなら文句は言わないだろ」
半ばなげやりな口調でユウリが呟く。あまりこういうことをするのに慣れていないのか、対して動いてないはずなのに随分と疲れた顔をしている。
部屋を見渡してみると、本は全て本棚へと戻され、床にはチリ一つ落ちておらず、窓や壁はピカピカに磨かれていた。
「皆すごいね!! こんなに部屋がきれいになるなんて思わなかったよ」
「あたしも、ミオちんの掃除に対する情熱がこんなにすごいとは思わなかったよ」
「え? そう?」
床に突っ伏した状態で意外なことを言ったのはシーラである。
「別に特別情熱を注いだ訳じゃなかったけど……」
「いーや、お前は将来口うるさい姑になりそうな気がする」
「は? ナギまでなに言ってるの?」
皆の反応が微妙にずれている気がするけど、まあいいか。
そんなこんなでへとへとになりながらフィオナさんの帰りを待っていると、玄関の扉が開いた。
「ただいま。とりあえず今来れる者を連れてきたよ」
フィオナさんとともにやってきたのは五人の老若男女だった。フィオナさんと同年代の女性が二人、20代前後くらいの浅黒い肌の男性、50代くらいの強面の男性に、白髪で小柄な初老の男性。皆それぞれ手に食べ物や飲み物などを持参していた。
「ねえねえ、もしかしてそれってお酒!?」
目ざとくシーラが見つけたのは、女性の一人が手にしている液体の入った瓶だ。女性が持つには随分と大きくて重そうだが、当の彼女は平然とそれを持っている。
「ああ。自家製の特製果実酒さ。かわいらしいお嬢ちゃん、あんたも行ける口かい?」
手でお酒を飲む仕草を見せながら、女性はシーラに問う。シーラは「もちろん!!」と即答し、すぐに彼女たちと意気投合したのは言うまでもない。
「フィオナさんちの息子さんは、どちらだい?」
初老の男性が、ナギとユウリを見回しながら尋ねる。すると隣にいた50代の男性があきれた顔で答えた。
「いや、どう見てもそっちの銀髪の方だろ。フィオナさんとそっくりだ」
「確かに。けど目の色は、ゴーシュとおんなじだな。あいつの黄昏みてえな色はこの島じゃあ見たことがねえ」
「……っ」
島の男性たちに注目されたナギは、柄にもなく恥ずかしそうに視線を泳がせている。けれど心なしか嬉しそうなのは気のせいではないだ
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