第3部
ルザミ
ナギの決意
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本来そうなってはならない出来事なのだ。そうならないためにも、私は自分の運命を自分で変えてみせる。
すると、意気込んでいる私の頭に、ナギの手がポンと乗せられる。
「へっ。なんかお前見てたら、悩んでんのがバカらしくなったよ」
「ナギ?」
「お前が覚悟決めてんのに、オレがいつまでもグダグダ悩んでるわけにはいかねえもんな」
そう言うとナギは、拳を目の前に作ると、もう片方の手でそれを受け止めた。その目には、決意の色が広がっていた。
「決めたよ。オレはお前らの運命を、お前らの進みたい方向に導いてみせる。それがオレのこれからの生き方だ」
「ん? 急に何言ってるの?」
「オレはお前らみたいに明確な目的があって旅をしているわけじゃねえ。けど、旅をやめたいとも思わなかった。要するに中途半端だったんだよ」
「そうだったの?」
ここへ来て、ナギの真意を知り、私は驚愕する。
「でもこれからは、この予知能力で、お前らを理想の未来に導いてやる。もちろんお前がいなくなる未来も、変えてみせる」
「ナギ……」
その言葉は、普段のナギからは想像もできないくらい、とても力強い。と同時に、これまでとは違う頼もしさも肌で感じられた。
「ナギがそう言ってくれるなら、心強いよ。これからもよろしくね、ナギ」
「ああ」
などとナギの決意を確認しあっていると、突然シーラの声が聞こえてきた。
「いたいた!! おーい、二人とも〜! こっち来て〜!!」
「なんだ? 何かあったのか?」
何事かと尋ねるナギに対し、シーラは切羽詰まったような様子だ。
「とにかく家の中に入って!! 大発見なの!!」
『大発見』と言う言葉に、私とナギは顔を見合わせる。ただ事ではないと判断した私たちは、急いでシーラと共に家に戻ることにした。
「遅い」
扉を開けた途端、不機嫌極まりない顔のユウリが出迎えてくれた。
私たちが外に出ている間、ユウリは部屋にある沢山の書物が気になっていたらしく、フィオナさんに魔王やオーブに関する本がないか尋ねたと言う。
するとフィオナさんは、「数だけは多いが、ほとんどが何十年も前に描かれた古い書物だ。おそらく魔王についての記述はほとんどないだろう」と言いながらも、部屋にある本を全て調べても良いと許可してくれた。
早速ユウリとシーラは調べたが、やはりフィオナさんの言うとおり、二十年前に現れたと言われる魔王に関する書物はほとんど見当たらなかったという。
だがその代わり、オーブに関して新たな情報を得ることが出来たそうだ。それがシーラの言っていた『大発見』だという。
「お前ら、いつまで外でブラブラしてたんだ」
そんなに時間なんて経ってない気もするのだが、調べものをしていたからか随分と機嫌が悪い。私は特にその話題には触れず、シーラの言
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