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リュカ伝の外伝
やっぱり僕は歌が好き 第二十二楽章「悔し泣きは努力してる証」
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てだったからぁ〜」
「酷い女共だ。若者を蔑ろにするとは……」

「そういうピエールは若者の演奏を見てたのかい?」
「愚問だなリュカ。先刻(さっき)私が言った『女共』の中には、私も含まれている」
「「同類じゃん!?」」

美しい女性二人から、美しい声のツッコミが同時に入る。
それを見て社長が笑い、室内に笑いが伝染し、私も笑ってしまった。
よし、次頑張ろう。

私は再度気合いを入れ直しピアノに向かい深呼吸する。
そして心の中で“1.2.3.4”とリズムを刻み歌い出す。
だが……社長(陛下)MG(マジカルギター)が入る前に大きくミス!

拙い……全然持ち直してない!
「済みません」と謝りもう一度歌い出すも……
声を上手く出せずリズムも狂う。

顔を上げる事が出来ず、見詰めてる鍵盤が涙で滲む。
皆さん優しいからきっと怒ってはいない……
でも呆れ果ててるはずだ。

だって私は音楽を学んできた専門家なのだ。
それなのにこんなにも足を引っ張るなんて……
私は、自分が思ってるほど才能が無かったんだ……きっとそうなんだわ。

俯きただ泣いていると……
「ピエッサさんさぁ……なんか格好良く演奏しようとしてない?」
と、王妃陛下から少し笑いが含まれたお言葉を賜る。
思わず顔を上げ視線を向けると、何時もの様に優しい微笑みを私に向けている。

「私達、リュカにしか興味無いのよ。言葉は悪いけど、こちらのアイリーンさんがリュカに負けじと格好良く演奏しようが私達には興味無いのよ。だって音楽に詳しくないのだもの(笑) リュカという男の事には詳しいし興味が尽きないけど、貴女達には興味が無いの」
た、確かにそうなのだけど……でも……

「愛しすぎる愛娘のマリーが言ってたんだけど……『あの娘(ピエッサ)(マリー)の引き立て役でいい。客は美少女の(マリー)を観に来てるんだから!』って。聞いた時“ムカつく娘だ……何時(いつ)か痛い目を見ろ”と親心で思ったものだけど、このグループのファンになったら愛娘(あほ)の言ってた意味が理解出来た……だって私達の推しはリュカなんだもの? 他の小娘が格好良くする必要はないの。堅実に地味にひっそりと演奏してくれてれば良いの。だから無駄にリュカと競わないで……貴女は堅実に演奏する事だけを目指して。それが貴女の一番の才能であり、そして実はリュカと同じ才能の持ち主なんだからね」

陛下と同じ才能!?
そんな訳無いわ……だって陛下は凄い天才だもの!
素晴らしい楽曲を沢山思い付き、その全てを完璧に弾き熟す……?

そう言えば……陛下のヴァイオリンの腕前はお世辞にも上手とは言えなかったわ。
今現在の腕前は判らないけど、初めて聴かせてもらった時は完全な素人よりかは良い感じなだけ
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