第3部
ルザミ
滅びの町の真実
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「隠すつもりはなかったんだ。でも、なかなかタイミングが掴めなくてね。とりあえず、一度下に降りて話そうか」
フィオナさんがナギの母親だという衝撃の事実を聞かされたあと、私たちはフィオナさんに言われるがまま、一階のリビングへと降りた。
そしてそのまま「お茶を入れるからここで待って欲しい」と言われ、四人でソファーに座り待つことに。
フィオナさんがキッチンにいる間にふとナギの方を振り向くと、物言いたげな顔でフィオナさんの後ろ姿を見つめていた。
今思えば、この家の扉を壊そうとしたユウリを、ナギは強く止めていた。もし彼が昔そこに住んでいたのなら、強く止めたのも納得がいく。
彼は今、何を思っているのだろうか。この島のことも、フィオナさんのことも今まで知らなかったみたいだから、きっとナギが物心つく前にこの島から離れたのだろう。平然としているが、突然の肉親との再会に驚かないはずがなかった。
「ナギちんは、フィオナさんの顔は知らないって言ってたよね?」
突然シーラがナギに尋ねる。今更何を、と言わんばかりにナギは睨み返した。
「そうだよ。だってオレは物心ついたときからナジミの塔にいたからな」
「てことは、ナギちんが赤ちゃんのときに離れ離れになったんだよね? なのにどうしてフィオナさんは、今のナギちんの姿を見て自分の子供だと断言したんだろう」
「!!」
シーラの言うとおりだ。ナギは一度もここで名乗ったりはしていないはずなのに。それにいくら同じ髪の色をしていても、それが自分の子だと確信するには、判断材料が少なすぎる。
ナギもそれに気づいたのか、疑心に満ちた表情に変わっていった。けど、フィオナさんの様子を見る限り、私達を騙すような悪い人には見えない。
一体フィオナさんは、何者なのだろうか?
それ以降皆特に会話もなく、微妙な沈黙が続いていると、やがてお茶を持ってきたフィオナさんがやって来た。
「なかなか人の来ない場所だからね。大したもてなしは出来ないがゆっくりしてくれ」
「いえ、逆にすいません。気を遣ってもらっちゃって」
フィオナさんがテーブルにお茶の入ったカップを並べ始めると、仄かにフルーツの香りが漂ってきた。爽やかな香りに誘われるように、私はカップを口につけた。
「なあ、本当にあんたはオレの母親なのか?」
単刀直入に言うナギに対し、フィオナさんは動揺することなく頷いた。
「ああ。少し長くなるけどいいかい?」
そう確認すると、彼は早く話せと言わんばかりに見返した。その様子に、フィオナさんはくすりと笑った。
「あれはちょうど二十年前、たまたま浜辺を歩いていた私は、海岸に打ち捨てられるように倒れていた一人の海賊と出会った。酷く衰弱していたから、島の者を呼んで私の家で介抱した。数カ月後、元気になったその海賊は、ゴーシュと名乗
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