第3部
ルザミ
滅びの町の真実
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ど残念そうに見えない様子のシーラを、ギロリとにらみつけるユウリ。何もそんなに怒らなくてもいいのに、と思ってしまう。
「なあ、一つ聞きたいことがあるんだけど」
すると、しばらく話に入ってこなかったナギが、口を開いた。
「……どうしてオレを、ジジイのところに預けたんだ?」
途端、ナギとフィオナさんの間に微妙な空気が流れる。
「オレはガキの頃からずっとジジイと一緒に暮らしてた。自分の両親が誰で、どこにいるのか、結局オレが旅に出るまであのジジイは教えてくれなかった。どうしてオレだけ何も知らされなかったんだ?」
まるで咎めるような言い方に、フィオナさんは少しの間を置いてから答えた。
「君が産まれる直前、私は神からの啓示を受けた。君は生涯盗賊として生き、ゆくゆくは世界を変える人物となるだろう、と」
「!?」
その話を聞いて、私はダーマで聞いた先天性職業のことを思い出した。ユウリやダーマの大僧正がそうだったように、ナギもまた、盗賊の先天性職業だったのだ。
「そんな運命に導かれた子を、この島で育てるのは私では役不足だと感じたんだ。せめてゴーシュが生きていればよかったが、君が二歳の時、ゴーシュは命を落としてしまった。けれど残された私だけで、生まれながらに盗賊としての宿命を受けた君を育てるのは難しいと思ったんだ。困った私は、アトレーさんが義賊だったという話を思い出した。そして私はナギを連れてアリアハンまで行き、アトレーさんにナギを預け、盗賊の修行を兼ねて育ててもらうことにしたんだ。私たちのことを隠していたのは……、アトレーさんなりの気遣いだったんじゃないかな」
……だからナギは、私たちと出会うまで、ナジミの塔でおじいさんと二人で暮らしてたんだ。
二歳で父親と死に別れ、母親とも離れ離れになったナギ。きっとおじいさんは、ナギにこれ以上悲しい思いをさせないよう、もしくは盗賊の修行を全うできるよう、あえて両親のことを話さなかったのかもしれない。
「……なんだよ。結局皆、この陰険勇者のために動いてたってことかよ」
「ナギ!?」
ハッとして振り向くと、ナギが恨みがましい目でユウリを睨みつけている。
「オレがこいつと一緒に魔王を倒すって、最初から決まってたことだったんだな。だからジジイはオレを盗賊に仕立て上げたのか」
いまだかつて、これほど怒気を強めたナギを見たことがあっただろうか。
その表情は今にも壊れそうなくらい、張り詰めていた。
「なんだよ、オレばっかり何も知らないで!! オレは他人が見た夢なんかに振り回されてきたわけじゃない!! 勝手に運命とか決めつけるなよ!! オレが今ここにいるのは、オレ自身が決めたことだ!!」
そう叫ぶと、ナギはソファーから立ち上がり、すぐに玄関へと向かった。
「ちょっと待って、ナギ!!」
慌てて
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