第3部
ルザミ
滅びの町の真実
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容を話してくれた。そしてそれは全て、その通りになった。季節外れの雪が降った日や、嵐が来た日のこと、……それと、自分が命を落とす日のこと」
その瞬間、皆の息を呑む音が聞こえた。ゴーシュさんは、自分がいつ死ぬかを事前に知ってしまったのだ。
「彼の予知は100%的中した。自分の死期も含めてね。だから当時彼が見た銀髪の青年が自分の息子だというのも、間違いないと思ったんだ」
「……だからフィオナさんは、今のナギの姿を見て、自分の息子だと確信したんですね」
「ああ。それにあの頃のゴーシュによく似ている。とくにその眼の色」
何かを思い出すかのようにナギを見つめるフィオナさんに、ナギはどこか恥ずかしそうに顔を逸した。
「ということは、俺たちが今日ここに来ることも、初めから知っていたというわけか」
面白くなさそうな顔で、今まで大人しく聞いていたユウリが言い放つ。
「そういえば、ナギのおじいさんも夢のお告げだとかで、ユウリを勇者って言ってたよね」
「……あのときは、冗談半分にしか聞いてなかったけどな」
ナギのおじいさん……アトレーさんも夢でユウリを見たと言っていた。そのときはユウリ以外の仲間は覚えてないとか言ってたけど、本当は知ってたのではないだろうか。
そんな私の考えをよそに、ユウリが話を切り替えた。
「あんたがバカザルの母親だと断言できる理由はわかった。だが、そんな夢を見るくらいなら、他にもまだ予知夢を見たんじゃないのか?」
「そうだね。君たちに関係のある夢はあと一つある。ユウリくん、君は『テドン』という町を知っているかい?」
テドンといえば、以前私とユウリが訪れた町……いや、町『だった』場所だ。
「ああ。魔王軍に滅ぼされた町のことか。確かそこで三賢者イグノーの幽霊に会ったが」
「本当かい!? それなら話は早いな」
ユウリの言葉に、フィオナさんは驚喜した。
「ゴーシュはナギが生まれる前、テドンにいるイグノーという賢者が、勇者である君に緑色に光るオーブを渡すという夢を視たんだ」
「なっ!?」
イグノーといえば、三賢者の一人であり、シーラのおじいさんであり、さらには勇者サイモンとともに魔王を倒そうとした人でもある。しかも私たちはそのテドンの町で、イグノーさんの幽霊に会ったのだ。
しかも、フィオナさんが言う緑色の宝玉というのは、もしかして……。
「その夢はいつもと違ったと言っていた。どうやら予知夢の中には、第三者にはわからない直感というものが感じ取れるものもあるらしい。人によっては夢のお告げと言う人もいるみたいだが……。とにかくゴーシュはその夢を視て、自分たちが手助けをしなければ、世界が滅びるかもしれないとまで考えたんだ」
「直感……」
何か心当たりがあるのか、ぼそりとナギが呟いた。
「その夢を実現させなければ
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