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ドーナツ奉行
第二章

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 そのドーナツを買って会社に帰ってだ。
 三時になるとだ、彼等は口々に言った。
「じゃあ食べようか」
「三時になったし」
「一休みも兼ねて食べよう」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 数多くのドーナツを買った、そしてだった。
 会社に帰った、そのうえで三時になるとドーナツを入れた箱幾つもあるそれを出してコーヒーやレモンティーも用意した、そしてだった。
 篠田を入れて部の皆で食べようとしたが。
 篠田はすぐにだ、こう言った。
「まずは一口飲みものを飲もう」
「まずはですか」
「コーヒーかレモンティーを」
「それをですか」
「ミルクティーがないことはいいね」
 篠田は誰もそのお茶を飲んでいないことには笑顔で言った。
「イギリスだからね。ミルクティーは」
「まあそうですね」
「こっちじゃ飲む人は少数派ですね」
「アメリカはお茶ならレモンティーです」
「そっちを飲みます」
「ドーナツはアメリカのお菓子だからね」 
 それ故にというのだ。
「こっちじゃないとね」
「そうですね」
「じゃあミルクティーがないことをよしとして」
「それで、ですね」
「まずはコーヒーかレモンティーを飲む」
「そうしますね」
「喉を潤そうね」
 こう言ってだった。
 篠田は自分のレモンティーを一口飲んだ、彼の部下達もそれぞれコーヒーやレモンティーを飲んだ。それからだった。
 ドーナツを食べようとしたがここでまただった。
 篠田は部下達にだ、こう言った。
「最初はオールドファッションだよ」
「食べるドーナツは」
「それですか」
「オールドファッションは基本だからね」
 こう言うのだった。
「まずはね」
「オールドファッションですか」
「それを食べる」
「そうすべきですか」
「それが足りなかったら」
 オールドファッションが一人一個ずつなかった場合はというと。
「チョコファッションだよ、まずは基本から食べて」
「それで、ですか」
「他のドーナツを食べる」
「そうしますか」
「勿論食べる前に手は洗ってね」
 このことも言うのだった。
「そうしてだよ」
「はい、それは忘れてないです」
「皆洗ってます」
「ちゃんと」
「それは何よりだよ、では食べようね」
 篠田は実際に最初はオールドファッションを手に取った、そうしてから食べるのだった。それでだった。
 食べはじめると彼はまた言った。
「食べている時はちゃんと肘をつかない」
「おっと、日本ではそうでしたね」
「マナーとして」
「そこはちゃんとですね」
「そして片手に持って」
 見れば彼はドーナツを片手に持って食べている。
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