第二章
[8]前話
「二だな」
「はい、偶数です」
「そちらです」
「出た目は」
「これで決まった」
周りに落ち着いた声で答えた。
「全てはな」
「はい、それではですね」
「その決断に従われますね」
「この度は」
「そうする、私はポッペイナに誘いをかける」
今ローマで評判の美人にというのだ。
「ユリアでなくな」
「そうされますね」
「この度は」
「あの方にされますね」
「最初にどちらに誘いをかけようかと考えていたが」
それでもというのだ。
「賽の目がその選択をさせた、奇数ならユリアでだ」
「偶数ならポッペイナ様」
「あの方にお誘いをかける」
「そうお考えでしたね」
「そしてその後でだ」
ポッペイナの後でというのだ。
「ユリアだ、ではだ」
「これよりですね」
「まずはポッペイナ様に贈りものをされ」
「お言葉をかけられますね」
「うむ、では贈りものを買おう」
カエサルは今度は何でもないという声で述べた。
「そうしよう」
「あの」
彼の副官であるレピドゥス、線が細く穏やかな外見の彼が言ってきた。
「お金がです」
「ないか」
「今のカエサル様には」
「金はないなら借りればいい」
レピドゥスにこちらのことは何でもないという口調で返した。
「そうではないか」
「ではですね」
「いつも通りだ」
まさにというのだ。
「借りる」
「そうされますか」
「そうだ」
こう言うのだった。
「そして贈りものを買ってな」
「送られますね」
「そうしよう、あとだ」
カエサルはさらに言った。
「新しいトガや面白そうな書もあるしな」
「そうしたものもですか」
「この度借りた金でな」
それを持ちいてというのだ。
「買おう」
「そうですか」
「何、金のことは気にすることはない」
実際にカエサルは全く気にしていなかった。
「巷では私を借金王と言っているそうだが」
「そのことはですね」
「何でもない、ではポッペイナにだ」
「贈りものをされ」
「言葉をかけよう、それからユリアだ」
決断を下したカエサルの顔は落ち着いていた、そしてだった。
彼は贈りものついてにトガや書を借りた金で買うと周りに意気揚々として話した。
「ではな」
「はい、これより」
「ポッペイナ様の下に行かれますね」
「そうする」
微笑み言ってそのまま彼女の方へ向かった、選択から実行に移している彼にもう悩みはなかった。希望だけがあった。
ユリウス=カエサルの選択 完
2023・2・14
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