第二章
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「何かと評判が悪い」
「僕達志士の間では」
「そうだからな」
「桂さんもお嫌いですね」
「だがどんな御仁か見ることはな」
「大事というか絶対ですね」
「例え敵でも嫌いであってもだ」
そうした相手でもというのだ。
「しっかりと見てだ」
「その相手を知ることですね」
「戦でもそうしないと勝てないな」
「確かに」
その通りだとだ、高杉も答えた。
「その通りです」
「だからな」
「容堂公とですか」
「一度話そう、それに今は土佐藩も仲間だ」
容堂が実質的な主であるこの藩もというのだ。
「板垣君もいるしな」
「それでは」
「うむ、板垣君それに後藤君とも話してな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「お話をしますね」
「そうしよう」
こう話してだった。
桂は容堂と会いたいと土佐藩の方に申し出た、そうしてそちらと話を整えそうして会うことになったが。
容堂は酔っていた、しかもその手には盃があり酒の匂いをぷんぷんとさせつつ自分の前に来た桂に言った。
「わしと話がしたいな」
「それで参りました」
「飲んでおるがいいか」
「山内公がお好きなのは聞いていましたので」
桂は容堂に静かに答えた。
「そのことはです」
「構わぬか」
「はい」
こう答えたのだった。
「一行に」
「そうか、それではな」
「宜しくお願いします」
桂は一礼しそうしてだった。
容堂と話した、すると。
容堂は器が大きく学識があり剛毅でもあった、確かに考えは古いが話していても面白く桂は噂通りの人物だと思った。
それでだ、彼は容堂にあえて問うた。
「武市君のことですが」
「そのことか」
「他の志士のことも」
「何故わしが殺したかだな」
「はい、お聞きしたいですが」
桂は容堂を見据え問うた、彼も飲んでいるが酔ってはいなかった。
「宜しいでしょうか」
「安心せよ、何もせぬ」
このことをだ、容堂はまずは断った。
「そなたがこのことをここで言ってもな」
「左様ですか」
「切ったりはせぬ」
絶対にというのだ。
「だからな」
「そのことを安心してですか」
「そのうえで言うのだ」
「それでは」
桂は容堂の言葉に頷いた、そのうえで彼にあらためて言った。
「武市殿を失ったことは天下の損失です」
「他の者達もだな」
「実に勿体ないことでした」
「何故わしが殺したか」
「公は誤ったと思っております」
桂は容堂をその愛で見据えて言った。
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