第二章
[8]前話
ふとだ、舜は自分達が歩いている道の箸を指差して言った。
「あそこに蛇がいるよ」
「あの蛇何かしら」
静は舜の声と指差した先を見て言った。
「奇麗ね」
「赤くてところどころ黒い模様が入っていて」
「見たことないわね」
「おい、あれは」
潤もその蛇を見た、すると彼は。
驚きの顔と声でだ、二人に言った。
「ヒヤンじゃないか」
「ヒヤン?」
「あの蛇の名前?」
「ああ、この島とかこの辺りの限られた島にだけしかいなくてな」
そのヒヤンを見つつ言うのだった。
「数もかなり少ないんだ」
「そんな蛇なの」
「そうなんだ」
「ドラクエで言うとメタルキングより遥かにレアなんだ」
そうした蛇だというのだ。
「あの蛇はな」
「メタルキングって結構見るよね」
「そうだよね」
妹と弟はこう話した。
「出てくる場所に行けば」
「逃げ足早いけれど倒し方にコツあるし」
「そういえばそうか、けれどな」
それでもとだ、潤は二人に話した。
「あの蛇は本当に珍しいんだ」
「滅多に見られないのね」
「そんな蛇なんだ」
「一時期本当にいるかどうかわからない位だったんだ」
そこまでだったというのだ。
「物凄く珍しい蛇なんだ」
「その蛇を私達今見てるのね」
「凄いんだね」
「凄いさ、俺達は運がいいな」
潤は唸って言った、ヒヤンはそんな彼等をよそに這って森の中に入って姿を消した。そうしてだった。
三人でホテルに帰るとお土産を買って部屋に戻っていた両親に話した、すると両親もそれはまた貴重な体験だったと話した。
潤は大学は生物学を専攻し卒業してからそちらの教師になった、そして度々奄美大島に行ってあの時の様にヒヤンを見て観察しようとした、だがOLになった妹とサラリーマンになった弟にいつもぼやいた。
「今回も見付けられなかったよ」
「あの時の私達って運がよかったわね」
「本当にね」
二人はそんな兄に笑って言った、そしてあの時の自分達は実に運がよかったと実感し合った。あまりにも稀少な蛇を見ることが出来て。
激レアスネーク 完
2023・6・25
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