第二章
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「旦那さんが怨んでね」
「自分の奥さん堂々と獲られたからね」
「それでどうしたか」
「泣き寝入り?相手が王様だから」
「いや、わざと梅毒になってね」
モンテスは真顔から引いた顔になって言った。
「奥さんとね」
「あっ、それで」
「そう、その梅毒が王様にも感染して」
「王様梅毒にしたんだ」
「それで当時梅毒は助からなかったから」
ペニシリン梅毒の菌を倒すそれが開発されたのは二十世紀中頃のことだ。
「王様は梅毒のえげつない症状で死んだんだ」
「商人も奥さんも」
「あと王様と関係を持った大勢の人もね」
「えげつない復讐だね」
「いや、気を付けないとね」
モンテスは真顔で言った。
「性病それにね」
「相手の復讐だね」
「世の中こんなお話もあるんだよ」
「フランソワ一世は自業自得にしても」
「そう、変に浮気したりしたら」
「そんな目に遭うね」
「だから僕は浮気は絶対にしないよ」
モンテスは真顔に戻って言い切った。
「カトリックだしこのお話も聞いたからね」
「離婚だ慰謝料だって話にもなって」
「こうされることも有り得るからね」
「浮気はしないことだね」
「政孝もそこは気を付けるといいよ」
「気を付けるよ」
福岡も真顔で答えた、そうしてだった。
彼はそれから彼女が出来て付き合っている相手がいる時は何があっても浮気はしなかった。それはモンテスも同じだったが。
それぞれ浮気をしないことで真面目と言われたが返事はいつもそれはねと言って顔は引き攣っていた。そして詳しい理由は語らなかった。
「エイズも怖いけれど」
「梅毒も怖いからね」
「若し浮気してそれに怒った人から感染させられたら」
「洒落になってないからね」
二人でいる時はこう話した。
「梅毒になったら」
「身体に斑点出来て痒くなって」
「だるくなって」
「そこから髪の毛抜けて身体が腐って」
「お鼻も落ちてね」
「脊髄とかもやられて耳も聞こえなくなったりして」
「狂死もするからね」
そうなるかだとだ、フランソワ一世の話を思い出して語るのだった。
そして一升浮気はしなかった、何があっても。
好色な王様の死因 完
2023・6・24
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