妖獣の手のひら
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も恐れられていた女傑っぷりは、何も陰ってはおらず今も尚激しく燃え上がりカミオン隊の脅威だった。
それを今回の一見でカミオン隊の面々は理解する。
ブリーフィングルームで、ヤザンとオイ・ニュングは、お世辞にも明るいとは言えない雰囲気の中で、重苦しく言葉を交わしていた。
「ラゲーン時代から、俺達の悩みの種だったファラが、またこうやって俺達の壁になるとはな。
しつこい女だぜ」
どの口が言うのだという表情で、伯爵がヤザンを呆れて見る。
「さんざんしつこくラゲーンのベスパの喉元に食いついていた男が言うセリフかね?」
ヤザンは「はンっ」と短く笑ってそれを流した。
「問題は、ウッソくんだ。今回の失敗で焦らなければいいのだがな」
「あいつは頭がいいが、無鉄砲でバカなとこもある。
見張りをつかせたって、頭がいいから出し抜きやがるだろうしな。
想定しておいた方がよさそうだ」
「…脱走するかな?」
オイ・ニュングの問いに、ヤザンがうなずいた。
「するだろうな」
「まいったな…マケドニアとフロンティアの連合艦隊が、ズガン艦隊に負けたってその日に。
悲報凶報ってのは続くものなのだな」
オイ・ニュングとヤザンが暗い顔をしているのは、これも大きい。
無敵のズガン艦隊と謳われる、ザンスカール帝国の主力艦隊は伊達ではなかったという事だった。
フロンティアサイドから駆けつけた義勇軍と、マケドニアコロニーを中心としたサイド2の反ザンスカール軍は、ズガン艦隊との決戦に大敗を喫したとの情報も、リガ・ミリティアのスパイ達からもたらされていた。
これでリガ・ミリティアは世間的には三連敗となって、世間人気は急速に冷めていくだろう事は簡単に予想できた。
第一にカイラスギリー爆散。
第二にセント・ジョセフの戦い。
第三に、このフロンティア連合艦隊の敗北。
一と三については、リガ・ミリティアの主力は関わっていないから、リガ・ミリティアの負けだと囃し立てられれば「そうではない」と皆言いたいだろうが、そういう風説の流布の情報戦はリガ・ミリティアだって散々仕掛けた事だ。
ザンスカールに言わせれば、ズガン艦隊こそが戦力の要たる主力で、それ以外の敗戦は大した事など無いぞと言いたいに違いないのだ。
「相手はズガン艦隊だ。ま、仕方ないさ。
しかし、撤退する連合艦隊は少しでも生かして、俺達の方に合流させにゃならんぞ。
フロンティアはともかく、マケドニアは元々が反ザンスカールというだけで、リガ・ミリティアにも良い顔をせん連中だからな。
あんな
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