妖獣の手のひら
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乗りの楽園の夢はどうなる!」
死んでたまるか、という強い思いを顔面いっぱいに滲ませてドゥカーは叫ぶ。
バイク狂いの狂人という側面もあるが、ドゥカー・イクは優秀なパイロットであり指揮官で、そして女王の御前でアドラステア級のプレゼンさえさせて貰える程に忠義と信仰心を持つベスパの軍人でもあった。
そんなドゥカーをして、(このままリガ・ミリティアに投降でもしてやろうか)という思いさえ、一瞬ではあるが去来する。
しかし、今更リガ・ミリティアに投降したとて、この恐ろしい狙撃から助かる道もない。
「…!このままでは…死んでも死にきれん!」
指揮席の腕置きを力いっぱいに叩くドゥカーを、レンダも、そして部下達も同じ思いで口惜しそうに見る。
「生きて帰れたら…必ずやこの事は女王陛下にご報告させてもらうぞ、ゲトル!!」
未だに女王とザンスカールへの忠誠心はある。だが、決定的にガチ党への信頼は揺らいだ。というのも、ゲトル・デプレが失脚したタシロからカガチ派閥へと乗り換えたのは、ベスパの者ならば誰もがもはや暗黙の了解で知っていた。
だがこのままでは恐らく、ここが自分達の墓場となる。
それを悟っていたドゥカーだが、リガ・ミリティアの3機の怪物が急速に場を離れていくのを見て、「命を拾った…」と安堵の息を吐く。
しかし、ドゥカー・イクの表情は尚も暗い。
(いくらなんでも…まさか味方がこうまで腐っていたとは)
味方の背を平気で撃つような者達と、これから先も轡を並べて共に同じ道を征く事など出来ない。
ドゥカーもレンダも、この時に心に秘めたモノを抱く事になる。
「ウッソ、シャッコーを右から支えろ!
両側から俺達で押さえれば、今のシャッコーのドライブでも速度は出る!
戦域を全速力で離脱する…!撤退だ!」
「くっ…、はい!」
心が苦しかろうとウッソ・エヴィンは、戦場において正答を導き出せる男で、隊長の要望に完全に応えてみせる。だからこそヤザンは、ウッソを、戦場に於ける同等の戦士として既に見ていた。
3機が組み合って、同時にミノフスキー・ドライブを噴かす。
V2、シャッコー、そしてゲンガオゾのバインダーから漏れ出す光の粒子が溶け合って、3機はまるで一つの彗星のように光の尾を引いて宇宙を飛んでいく。
(シャクティ…!ごめん、ごめんね、シャクティ!待っていて…絶対に迎えに行くから!)
ウッソの明敏な思考は、あの鈴の音の大敵が、自分のニュータイプ能力すら利用してここ
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