第一章
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男らしくとはどういうことか
万葉集を授業で習ってだ、中学生の奈良牧水卵型の顔で細い目に薄い唇を持ち黒髪を短くした長身で体格のいい彼は思った。
「ますらおぶりって何だよ」
「だから男らしいってことだろ」
「要するにな」
「そういうことだろ」
クラスで言うとクラスメイト達がすぐに言ってきた。
「ますらおってそういう意味だろ」
「万葉集はそうした作風ってことだろ」
「古今和歌集がたおやめぶりでな」
「そうした歌が多いんだろ」
「万葉集が男らしいか?だったらな」
クラスメイト達に言われてだった、奈良は。
少し考える顔になってだ、クラスメイト達にこう言った。
「体育の平穏はどうだよ」
「ああ、あいつか」
「あいつ怒る時よくお前それでも男かって言うよな」
「男か女かってな」
「すげえ勢いで罵って来てな」
「何か部活でもな」
奈良は平穏の部活の顧問の時のことも話した。
「殴る蹴る罵るぶん投げるでな」
「何か滅茶苦茶やってるらしいな」
「機嫌が悪いと暴れ回ってな」
「もう最悪らしいな」
「体育の授業や運動会の練習の時も威張ってるけれどな」
「部活の時はもっと酷いらしいな」
「ああいうのが男らしいのか?」
奈良はクラスメイト達に問うた。
「あいつよく男かどうかって言うけれどな」
「いや、あれ暴力だろ」
「只の暴力だろ」
「あんなの虎やライオンにするかよ」
「生徒が何も出来ないからするだけだろ」
「あいつ体格もいいしな」
平穏のそれも見て話した。
「格闘技やってて強いしな」
「その力で虐待してるだけだろ」
「あいつの場合は」
「それだけだろ」
「男らしいってまた違うだろ」
「ああいうのは絶対にな」
「じゃあ男らしいってのは何だろうな」
万葉集とその教師のことからだ、奈良はこのことについて考える様になった。それは中学を卒業しても続き。
ある日高校で部活を終えて帰りの電車の中でユーチューブの動画でたまたま自衛隊の訓練そして活動を観てだった。
奈良ははっとなってだ、家に帰って母親の黒子おかめ顔で黒髪を長く伸ばした小柄な彼女に言った。彼は父親似であるのだ。
「お母さん、自衛隊の人達って人を守るのが仕事なんだな」
「日本を守ってるのよ」
母は息子の言葉に即座に答えた。
「それは戦争だけじゃなくてね」
「地震や台風が来てもな」
「そうよ、災害救助だってね」
「日本を守ってるんだな」
「そして困ってる人達を助けてくれてるのよ」
「そうだよな」
「警察官や消防署の人達も同じよ」
こうした仕事の人達もというのだ。
「それはね」
「そうだよな」
「人の為に身体を、自分の命を張ってよ」
「働いてくれてるんだな、何かな」
動画
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