第二章
[8]前話
「よくある話だけれどな」
「野生動物について」
「それで羆もな」
「実は数が減っていて」
「それでな」
そうした状況でというのだ。
「確かに襲われる話は今もあるさ」
「三毛別みたいに」
「けれどな」
それでもというのだ。
「数は減っていてましてや街だとな」
「函館とか札幌だと」
「出る筈ないだろ」
人が多くいる都会にというのだ。
「幾ら何でもな」
「北海道でも」
「北海道でもな」
羆がいる地域でもというのだ。
「そうはいないよ」
「自然の場所でも?」
「ああ、また言うけれどな」
「絶滅危惧種ね」
「そうだよ、そんな迂闊に羆がいるっていう場所に行かないとな」
愛知は静岡に真面目な顔で話した。
「出会うことはないさ」
「そうなのね」
「そりゃあの話は怖いさ」
愛知にしてもとだ、静岡にこうも言った。
「三毛別のな」
「羆嵐はね」
「日本の歴史で最悪の獣害だよ」
「そうよね」
「羆は大きいし気性も荒くてな」
このことも事実だというのだ。
「北海道にいるさ、けれどな」
「北海道の何処にもいるって訳じゃないわね」
「そうだよ、幾ら羆が怖くても」
愛知はさらに言った。
「羆を怖がり過ぎるのもな」
「よくないわね」
静岡もそれはと応えた。
「確かに」
「羆のこともちゃんと知ってな」
そうしてというのだ。
「北海道のこともな」
「知ることね」
「そうだよ、じゃあまた北海道に行くことになったら」
愛知はその時のことも話した。
「羆を極端に怖がらずな」
「そのまま楽しめばいいわね」
「そうだよ、そういうことでな」
静岡に笑って話した。
「今度北海道に行ったら」
「純粋にね」
「北海道を楽しんでくれよ」
「そうするわ」
静岡も約束した、そうしてだった。
彼女は以降羆を怖がることはなかった、そして今度は自分のプライベートで北海道に行った。そこでありのままの北海道を楽しんだのだった。
北海道でも何処にでもいない 完
2023・6・20
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