第二章
[8]前話
「本当にな」
「成程な」
「現実はシビアだな」
「そうした事情があるか」
「毎日作ってくれているのは」
「そして何よりもだよ」
ここでだ、岐阜は。
明るく笑ってだ、周囲にこうも言ったのだった。
「愛情があるからな」
「やっぱりそうだよな」
「愛情があるから作ってくれるよな」
「お弁当な」
「毎日ちゃんとな」
「そうなんだよ、あのRPGの武器屋のおっさんもだろ」
岐阜は笑ったままとあるキャラクターの話もした。
「奥さんいつもお弁当作ってくれてるよな」
「朝店に行ったり冒険に出る時にな」
「あれがまたいいんだよな」
「ヒットポイント回復するしな」
「馬鹿に出来ないよな」
「あの奥さんも旦那さんへの愛情があるからな」
それ故にというのだ。
「作ってくれてるな、子供の頃ゲームしていた時は何とも思わなかったけれどな」
「ああ、ただ仲がいいってな」
「そう思ってただけだったな」
「あの武器屋のおっさんあれで結構変な特技持っててな」
「主人公になってる作品もあったな」
「今はわかるよ、あの奥さんみたいな奥さんと一緒になって」
そしてというのだ。
「俺幸せだよ、だからな」
「お弁当嬉しいんだな」
「何よりも愛情があるから」
「それでだな」
「ああ、今日も食うな」
こう言ってだった。
岐阜はこの日の弁当ご飯を入れてそこに魚のフライとプチトマトそれに苺が入っているそれを食べた、そしてその次の日。
妻の燐、細面で色白で黒い切れ長の大きな目と艶やかな赤い唇と黒く長いセットした髪に一六〇程の見事なスタイルの在宅の仕事をしている彼女から弁当を受け取り笑顔で言った。
「じゃあ今日も行って来るよ」
「ええ、頑張って来るね」
「うん、お弁当も貰ったしね」
こう言ってだった。
岐阜は家を出た、鞄に入れた弁当の重さを感じたがその重さがこれまた心地よかった。
愛妻弁当の真実 完
2023・6・20
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