第一部
第四章 いつだって、道はある。
イタチ
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れていたイタチと紅の位置は、見事に逆転している。幻術返しだ、と紅は一瞬で悟った。目を合わせるだけで幻術を発動できる写輪眼の持ち主であるイタチにとって、幻術返しなど朝飯前なのだろう。
ざっ、とイタチがクナイ片手に紅との間合いをつめる。イタチをとめなければ、と思って立ち上がり、怪我をしていない方の手でクナイを抜き取ったが、そうするまでもなかった。
紅が唇を噛み切り、その痛みで幻術を解いたのだ。咄嗟にしゃがんだ彼女の長い黒髪が、クナイに切り取られてわずかに空を舞う。間髪入れず、イタチの強烈な蹴りが紅に叩き込まれ、彼女の体がふわりと空を舞い、そして地面に激突した。
「水遁・水鮫弾!」
「水龍弾ッ!!」
不意にサスケの体が持ち上げられた。後ろに向かってぐいぐいと引かれていくのと同時に、湧き起こった水の塊が衝突した。
「ふ、ふはははははははははは……ッッ! 久しぶりだな鮫くん、木ノ葉を荒らしてくれるとはいい度胸じゃないか、ええ!?」
「……あなたは」
煌く水しぶきの中、眩しげに目を細めつつ高らかな笑い声をあげた人物はシソ・ハッカだ。普段は着ていない中忍ベストを羽織り、ところどころに擦り傷をつくったり、絆創膏を張ったり、包帯を巻いたりしている。それらに加え、リュックサックを背負っているあたり、恐らく任務帰りだろうというのが看てとれた。
「走れっか、サスケ」
サスケの前で盛大な舌打ちをしつつクナイを構えているのは狐者異マナと、彼女そっくりに変化した紅丸だ。双方傷だらけで、恐らく任務帰りであろうというのが看てとれる。
「マナ、お前……」
「フカヒレ食べたかったけどよ、相手明らかにヤバそうだから、兎に角逃げるぜ!!」
「なっ」
サスケの返事を待たず、紅丸がサスケを担いで走り出す。担がれたまま、サスケはイタチを見た。イタチの写輪眼と視線が合う。一度は小さくなりかけた憎しみの炎が、またしても燃え上がり、ぱちぱちと爆ぜた。
「邪魔を、するなッ!」
身をよじって紅丸から離れ、痛む手首を伸ばす。おいやめろ、と叫ぶマナの声には耳を傾けようともせず、拳を固めて猛然と突進する。
ふわりと、イタチの羽織ったコートが翻った、と同時に、サスケは吹っ飛ばされていた。ザッ、と塀に体を思い切りぶつける。背中から広がる痛みに耐えながら立ち上がった彼の肩に、手がかかる。
「まあ、そう焦るなって」
「カカシ……ッ! 手ェ出すな、これは俺の――ッ!」
影分身らしい。もう片方のカカシはクナイをイタチの首元に当てており、左目の写輪眼でイタチを睨み付けている。ハッカとアスマは二人して鬼鮫を相手に戦っている。任務帰りであることと、水もない場所で水を一気に大量発生させたことも相俟って、ハッカはそれほど本調子ではなさそう
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