『彼』とあたしとあなたと
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「犀」
「今、俺の話してた?」
あっこらそこはわかってても黙ってなさいよ!日紅は思った。
「あ、ぁああぁの、日紅ちゃんっ、もう戻るねっ!またねっ」
そう叫んで、桜はばたばたと日紅のクラスを出て行った。
「…すっかりプレイボーイね、犀。お姉ちゃん悲しいわ」
「誰がお姉ちゃんだ、誰が」
「モテモテで羨ましい限りで」
「あの子になんて聞かれた?」
「あたしは遍く女の子のミ・カ・タ。そうぺらぺらと喋らないデース」
「ふぅん…」
まあ、大体察しはつくけど、と犀は呟いた。
「ねえ犀、あんた付き合ってるコ、いるの?」
一応桜ちゃんのためにリサーチしといてあげよう、と日紅は犀を見上げた。
「いると思うか?」
「全然」
「……。じゃあ俺も聞くけれど、おまえ好きな男いるの?」
「?付き合ってる男、じゃなくて?」
「おまえと誰かが付き合ってたら流石にわかるさ。おまえが俺に隠し事できる気しないし。で、いるの?」
「…いると思う?」
「全く」
「………」
仕返しかこれは。
「あ、日紅、もうひとつ聞いていいか?」
「嫌」
「さっきさ」
「ムシかい」
「さっき、おまえ青山と何話してた?」
「はい?」
日紅はぽかんと口を開けた。
「青山、ってあの青山くんかしら。うちの級長の」
「そう、その‘顔がよくて背が高くて頭もよくておまけにスポーツ万能だなんてキャーーッなんてステキなのv’って女子が騒いでた青山くん」
「あぁ、あの‘顔がよくて背が高くて頭もよくておまけにスポーツ万能だなんてクソーーッ一つも欠点がないぜ’って男子が騒いでた青山くん」
「……男子の内情に詳しくないか?」
「そっちこそ、女子に内通しているようで」
「で、その青山になんていわれた?」
「別に、何も。あ、でもリプト○のレモンティーくれたわ」
「リ、リプト○のレモンティ〜!?」
「は?な、何をそんなに慌ててんの?リプト○のレモンティーってそんなに希少価値のあるものだっけ?」
犀は例の缶が日紅の手のひらに収まっているのを見て取ると、いきなりそれをむんずと掴んで、一気に飲み干してしまった。
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