暁 〜小説投稿サイト〜
『彼』とあたしとあなたと

[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「犀」



「今、俺の話してた?」



 あっこらそこはわかってても黙ってなさいよ!日紅は思った。



「あ、ぁああぁの、日紅ちゃんっ、もう戻るねっ!またねっ」



 そう叫んで、桜はばたばたと日紅のクラスを出て行った。



「…すっかりプレイボーイね、犀。お姉ちゃん悲しいわ」



「誰がお姉ちゃんだ、誰が」



「モテモテで羨ましい限りで」



「あの子になんて聞かれた?」



「あたしは(あまね)く女の子のミ・カ・タ。そうぺらぺらと喋らないデース」



「ふぅん…」



 まあ、大体察しはつくけど、と犀は呟いた。



「ねえ犀、あんた付き合ってるコ、いるの?」



 一応桜ちゃんのためにリサーチしといてあげよう、と日紅は犀を見上げた。



「いると思うか?」



「全然」



「……。じゃあ俺も聞くけれど、おまえ好きな男いるの?」



「?付き合ってる男、じゃなくて?」



「おまえと誰かが付き合ってたら流石にわかるさ。おまえが俺に隠し事できる気しないし。で、いるの?」



「…いると思う?」



「全く」



「………」



 仕返しかこれは。



「あ、日紅、もうひとつ聞いていいか?」



「嫌」



「さっきさ」



「ムシかい」



「さっき、おまえ青山と何話してた?」



「はい?」



 日紅はぽかんと口を開けた。



「青山、ってあの青山くんかしら。うちの級長の」



「そう、その‘顔がよくて背が高くて頭もよくておまけにスポーツ万能だなんてキャーーッなんてステキなのv’って女子が騒いでた青山くん」



「あぁ、あの‘顔がよくて背が高くて頭もよくておまけにスポーツ万能だなんてクソーーッ一つも欠点がないぜ’って男子が騒いでた青山くん」



「……男子の内情に詳しくないか?」



「そっちこそ、女子に内通しているようで」



「で、その青山になんていわれた?」



「別に、何も。あ、でもリプト○のレモンティーくれたわ」



「リ、リプト○のレモンティ〜!?」



「は?な、何をそんなに慌ててんの?リプト○のレモンティーってそんなに希少価値のあるものだっけ?」



 犀は例の缶が日紅の手のひらに収まっているのを見て取ると、いきなりそれをむんずと掴んで、一気に飲み干してしまった。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ