暗闘編 ヘレン・アーヴィングという女 後編
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手加減して無力化することも出来たのだろう。警察官達を守ろうとするあまり、本気の蹴りで首をへし折ってしまった時の嫌な感覚は、まだ片脚に残っている。ヘレンは独り、自分の非力さをぼやいていた。
(それでも……今は、失ったものを数える時間も惜しい。今はただ、前に進んで行くしかない。その分だけ、きっと救える命がある)
だが、その気持ちを抱えたままでも今は戦わねばならない。居なくなった人間にいつまでも縋っていては、成長など出来るはずもない。
何より、自信の無さを理由に足を止めていては、その間に人が死ぬ。それこそノバシェード対策室の特務捜査官として、あってはならない失態なのだ。
(……それで良いのよね? 真凛)
そんな師の教えを心の奥底で唱えつつ、ヘレンはゆっくりと顔を上げ――朝陽に彩られた森林地帯の景色を見つめる。決意に満ち、凛としている彼女の貌は、一人前の特務捜査官に相応しい気高さに溢れていた。
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