暁 ~小説投稿サイト~
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~
AXZ編
第156話:知られざる父の姿
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器を返すよう促されたティキは、文句を言いつつ素直にサンジェルマンに受話器を渡した。拗ねた子供の様に突き返された受話器を受け取り、サンジェルマンは改めてアダムとの会話を再開した。

「申し訳ありません局長……神の力の構成実験には成功しましたが、維持にかなわず喪失してしまいました」
『やはり忌々しいものだな……フィーネの忘れ形見、シンフォギア……。そしてそれ以上に鬱陶しいね、魔法使い共は……』

 S.O.N.G.が魔法使いとシンフォギア、その両方を戦力として使役している事は当然彼も知っている。バルベルデでも活躍した事は報告から聞いているらしいが、それにしても魔法使いの件を口にする時、短い言葉の中に異様に力が籠っているのをサンジェルマンは聞き取っていた。

 まるで魔法使いを異様に憎んでいるかのようなアダムの言葉に、しかしサンジェルマンは敢えて触れず目下最大の問題であるヨナルデパズトーリ撃破のメカニズムを解き明かす必要性を説いた。

「疑似神とも言わしめる、不可逆の無敵性を覆す一撃。そのメカニズムの解明に時間を割く必要がありますが……」

 彼女らはヨナルデパズトーリの無敵性を作り出す為にかなりの時間を割いた。それをあっさり覆して見せた、シンフォギアの危険性を説く事でアダムの意識をそちらに持って行こうとする。
 だがその思惑に反し、アダムはサンジェルマンの提案をあっさりと切って捨てた。

『無用だよ。理由の解明は。シンプルに壊せば解決だ。シンフォギアをね』
「……了解です。カリオストロとプレラーティが先行して討伐作戦を進めています。私も急ぎ合流します」

 当てが外れた事に僅かに目を見開き動揺するサンジェルマンだったが、声には動揺を見せず応対する。予定とは違うが、ともあれ感心はシンフォギアの方に向かってくれたようだから良しとしようとサンジェルマンは受話器を置こうとした。

 だがそれよりも早くに、受話器の向こうからアダムの声が響いた。

『そうそう、魔法使いは忘れずに始末してくれよ、確実に。明星 颯人は、特にね』
「ッ!? 局長、それは……!」

 アダムの口から颯人の名が出た事に、サンジェルマンは思わず声を上げてしまった。そして彼女は、言ってから自分が失言した事に気付き息を呑んだ。

 受話器の向こうからはそれを嘲笑う様に、してやったりと言う気持ちを滲ませた声でアダムが言葉を紡いだ。

『拘っているね、やはりまだ。だけど駄目だよ、それは許さない』
「お言葉ですが局長、彼は違います。彼は我々と魔法使いの懸け橋となる――」

『同じだよ。奴もまた、忌まわしい血を引いている。きっとそう遠くない内に、世界にとっての厄災となる。君の悲願の大きな障害になると確信しているよ。悪い事は言わない、始末するんだ』


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