冬のある日、動き出す運命。
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ドラーの書いた名作か。
俺も何度かこの本を求めて図書館に行っていたが、人気があるのかいつも借りられているので、時の運に委ねるしか無いかと思ってたところだ。
「あなた先週、私が読んでいたこれを読みたいと言ってなかった?」
「ああ。お前もよく借りれたよな。あ、もしかして貸してくれるのか?」
「ええ、そのつもりよ。でも一つ問題があって、その本は今日が返却日なの。だから放課後に図書館で返却手続きを行って、そのままあなたが借り直してもらえないかしら」
「……それ、ただ単に返すのが面倒だけなんじゃないか?」
単純な親切心には思えない。
綱吉なら「一緒に図書館に行って、俺が返した後に借りなよ」とか言っただろうな。
まぁ、こればかりは日頃の行いだな……。
「それが何? 効率的な正しい判断だと思うけれど」
「潔いな……」
面倒事を避けたい気持ちを隠そうともしない。
良くも悪くも素直な奴だな。
「あなたに断られたなら、私が図書館に出向き自分で返却するだけね。人気かつ品薄のこの本が次にあなたの手元に来るのがいつかはわからないけれど、際限なく時間を浪費して図書館に通いたいならそれでもいいわ」
「わかったわかった。ありがたく引き受ける」
「そう? ならお願いするわね。……ふふふ」
プレッシャーをかけるというか、もはや脅しに近いぞ。
これが堀北なりの優しさなんだとしたら、やっぱり不器用なのかもしれないな。
というか、最後の『勝った……』みたいな笑いはなんだよ。
「……これからも俺に返却させようとか、考えてないよな」
「まさか。今日は放課後に大事な用があるのよ」
「大事な用?」
「ええ。兄さんから呼び出しを受けているの」
「へぇ……」
?? その日の放課後 ??
「どうせなら、何か他の本も借りていくか……」
放課後になり図書館に向かった俺は、返却手続きを終わらせる前にミステリーコーナーに向かっていた。
(どうせなら他にも読みたいミステリー物を一緒に借りていこう)
「……ん?」
ミステリーコーナーにたどり着くと、一人の女子生徒がいた。
「ん〜、ん〜」
「……」
腕を伸ばして自分の背より高い本棚にある本を取ろうとしている。
(このままじゃいつまでも手を伸ばしそうだな)
「余計なことかも知れないけど」
俺はそ
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