冬のある日、動き出す運命。
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して片割れの形は……いつ何時も寄り添い、支えたいと思う者に手渡せ。
これがその言い伝えです。
いつ何時も寄り添い、支えたいと思う者。
私にはそれが誰かはわからないけど、今の鈴音ならすぐに分かるんじゃないかしら?
最後になるけど……私もお父さんもあなたが高校を卒業して、立派になって家に帰ってくるのを楽しみに待っています。
体に気をつけて、頑張ってください。
?? 母より。
「……母さん」
今まで母さんは普通の人だと思っていたけど、この手紙を見るに2年前から私がこの学校に入学し、そして考え方を改める事を予見していた事になる。
(……恐ろしい先見の明ね)
手紙を便箋に戻し、大切に机の引き出しにしまう。
そして今度は宝石箱を掴み、片手を箱の蓋部分にかける。
「……誰も開けられないのに、私に開けられるわけが……!」
開けられないと思いながら、宝石箱の蓋を持ち上げてみると……。
??ガチャ。
なんと、あっさりと開くことができた。
拍子抜けすぎて、思わずため息が漏れる。
「はぁ……。これが開けられないなんて、絶対嘘でしょう」
母さんに嘘をつかれた事に腹を立てながら、私は宝石箱の中身を確認する。
宝石箱はベルベット張りになっており、ベルベットには2つの窪みが作られている。
そして、窪みには錆びた花が付いた何かと指輪のようなものが入っていた。
「……何かしら」
2つを手に取ってみると、それが何なのかを理解できた。
花が付いた何かは錆びていてるが、おそらく白い花が付いた髪飾りだろう。
指輪はそのまま指輪だけど、上部分についている宝石の形がおかしい。
「……これ、明らかに欠けてるわね」
どう見ても不自然な形だった。
宝石を真っ二つに割り、割れた宝石の半分だけを指輪にくっつけているかのような見た目をしている。
その時、私は手紙に書かれていた言い伝えの一節を思い出した。
??この箱を開きし者。2つの内、完全な形を自らに。
??そして片割れの形は……いつ何時も寄り添い、支えたいと思う者に手渡せ。
「……完全な形は髪飾りで、片割れの形はこの指輪ってことかしら? ……でもいつも寄り添って支えたい人なんて」
頭の中に兄さんの顔が浮かび上がっ
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