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ぺーパーシャッフルE 〜嵐を呼ぶ試験直前〜
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 ……喜んだり悲しんだり、本当に堀北の忠犬って感じだな。

 

「長谷部さん達の方はどう?」

「こっちも問題はない」

 

 堀北の確認に簡潔に啓誠が答えると、櫛田が嬉しそうにポンっと手を叩いた。

 

「良かった〜♪ Dクラスの誰かが欠けるなんて絶対に嫌もんね! 皆で乗り越えようね、ペーパーシャッフル♪」

 

 ……さぁ、このタイミングで仕掛けてみるか。

 

「……」

「!……」

 

 目で軽井沢にアイコンタクトを送ると、軽井沢は複雑そうな顔で口を開いた。

 

「……でもさぁ、本当に大丈夫なの?」

「え? 軽井沢さん?」

 

 予定通りだ。櫛田が反応を見せてくれたぞ。

 

「そりゃ、クラスメイトが減るのは嫌だけどさ。毎年誰かが退学してる試験なんでしょ? 私や須藤くんが赤点を取らない保証はないよね?」

「保証は……出来ないね……」

「だったらそんな軽々しい言い方しないでよっ!」

 

 困ったような顔になる櫛田に、軽井沢は怒りのボルテージが上がって行くように詰め寄っていく。

 

「前々から言いたかったんだけど、櫛田さんって良い子ちゃんぶってない?」

「え? ……そ、そう、かなぁ……」

 

 不穏な空気に包まれた2人を、進行役の堀北が取りなそうとする。

 

「冷静になってもらえないかしら。今はテストに向けての話し合いをしている最中よ?」

「堀北さんは黙っててよ!」

 

 しかし軽井沢は、堀北の言葉を跳ね除けて、詰め寄ることを止めようとしない。

 

「ねぇ櫛田さん。本当は心の中で私の事を馬鹿にしてたりするんじゃないの?」

「そ、そんなことしないよ?」

「だったら気安く言わないでよ! 私が赤点取ったら責任取れるわけ?」

「せ、責任って……わっ!?」

 

 演技の怒りがマックスに達したのか、軽井沢は自分のグラスに入っていたグレープジュースの中身を櫛田にぶっかけた。

 

 ブレザーの胸元付近に、グレープジュースの紫色のシミがついている。

 

「軽井沢さん、今のはいけないよ。やっていいことと悪いことがあると僕は思う」

「だ、だって……。私が悪いの?」

「今の話はあなたが悪いわ、軽井沢さん。櫛田さんにはどこにも非がなかったわよ」

「さすがに擁護できんぞ」

「わ、私は平気だよ。全然気にしてないから、軽井沢さんを責めないであげて?」

「そうはいかないだろ。どう考えても軽井沢が悪い」

 

 平田・堀北・啓誠から窘められる軽井沢。

 

「……っ」


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