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ヤザン・リガミリティア
獣と龍と
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スを保ち戦闘機動を続行してみせた。

 

(パワーを上げると機体が傾く!クソ…!一気に包囲網を抜けるのが難しくなりやがった!)

 

だが今のV2が発揮できるスピードも小回りも大きく限界を落としたものだから、ヤザンの苦しさは並ではない。

そしてそこに態勢を立て直したブロッホの青きドッゴーラまでもが再度去来すれば、ヤザンを襲うビームの嵐はより密度を増した。

 

「強化人間め、クックックッ、いい仕事をしたじゃないか」

 

「ブロッホ!?私の獲物を横取りしようだと!?」

 

突如乱入したもう1機のドッゴーラに、ピピニーデンは敵意を剥き出す。

ヤザンを追い詰めるブロックをサイコミュで操りながらも、ピピニーデンはドッゴーラの胴部をブロッホ機へ擦り当てるようにしてわざと追突。

そして接触通信でがなり立てる。

 

「私の獲物だぞ!!」

 

「く…!た、大尉、なにを!?

私の邪魔をするのですか!!」

 

「私の獲物だと言っている!貴様は私のアシストをしていればいい!」

 

(に、人形風情が…!!)

 

ブロッホのこめかみに青筋が浮かぶ。

そのまま怒りに身を任せてピピニーデンを攻撃してやろうかという思考すら刹那、芽生えるがブロッホは実直な軍人でもある。

怒りを唾と共に飲み込んで、己の任務を強く思い起こす。

 

「っ…わ、分かりました…では、私は支援に徹します。

大尉にお任せします!」

 

大人しく一歩引き、青いドッゴーラは距離を置いて漫然とした支援砲撃へと移行。

ピピニーデンはそれを満足気に見て、そしてヤザンのV2へと迫る。

ブロッホは唇を噛み締め、(馬鹿め…!二人でかかれば確実に倒せるものを!)そう思いつつもそれを見送れば、橙のドッゴーラがけたたましくV2へと激進し、そしてブロックによる包囲を確実に狭めながら、ヤザンを檻から逃さぬようビームガンで逃げ道を塞ぐ。

今、ピピニーデンは最高に気分が良い。

己に酔う。

 

「はははははっ!翼のもげた小鳥のようじゃないか、そのMSは!

これが!これが正しくあるべき姿なのだ!

私は貴様に負け続けて栄光を失ったが、ここで貴様を仕留めて再び私は名誉を手にする!」

 

ピピニーデンの感応が宇宙を漂うスウェッセムセルに乗り、そしてピピニーデンの指令を正しくブロック状のビット達へと伝達すれば高速でV2へ殺到するのだ。

上、下、右、左、そして前後までも、ヤザンの視界全てが巨大なブロック共に埋め尽くされる。

 

「舐めるなよ!俺がこんな積み木遊びでバテると思うのかよ!」

 

その瞬間
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