獣と龍と
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でもヤザンに纏わりつけば、中々思うようには戦わせてもらえない。
「…感じる…!お前の存在を感じるぞ!私の全身をピリつかせる獣の吐息だ…!!お前なのだろう、ヤザン・ゲーブル!」
ヤザンをイラつかせるMAのパイロット、アルベオ・ピピニーデンは、目を見開いてモニターに映るガンダムタイプを凝視し、今までの寡黙さが嘘のように饒舌となって気分を高揚させてていた。
ベスパオレンジのドッゴーラが、長い尾をたなびかせながら高速でヤザンへ迫る。
その様は黒い海を掻き分けて進む龍か蛇そのものだ。
「その軌道の素直さは見覚えがある…あの時の曲芸師か!?」
ベスパのピピニーデンサーカスと言えば多少はリガ・ミリティアにも知られていた名物パイロットであり前線指揮官であるし、ヤザンは何度か交戦した経験から巨大MAを駆るパイロットをずばり当ててみせた。
「ならば!」
そうくると敵の挙動の癖を思い出してやれば戦いはぐっとこちらに傾く。
ヤザンは右にフェイントのビームを放ち、そして敵が回避するより前にMAの斜め前へとビームライフルの先撃ち。
「っ!?ヤザン!!くはははははっ!やはり恐ろしい奴!しかし私ももう以前とは違うっ!!」
ドッゴーラの尾の付け根に吸い込まれていったV2のビームが、だが当たる直前に虚空を貫いた。
「なんだァ!?バラけた!」
さすがにヤザンもそれには少し驚く。
ドッゴーラが胴部と尾を切り離し、そしてトカゲの尻尾切りの如く離れた尾はグネグネと動いて、まるで別の生き物のように蛇行運動で宇宙を泳ぐと、その直後に爆発するかのよに勢いよく尾がバラバラになったのだ。
ヤザンもある程度は(あのブロックは尾から切り離したパーツでは)とあたりをつけていはしたが、まさか尾の全てのブロックが分解し、それぞれが動き出すとは思わない。
「サイコミュのオールレンジ攻撃…!」
敵にとってはハエのように不愉快かつ不規則な高速軌道で、ドッゴーラ達とブロックによる包囲網の網の目を掻い潜り続けるヤザンは巧みに無数のブロックの体当たりを掻い潜り続ける。
「フン…ただ目立つだけのデカイ箱が追尾するだけかァ!?
手品の種が割れればくだらんもんだぜ!
曲芸師から手品師に鞍替えしたところでなぁ!ハハハハハッ!」
V2を包囲し、高速の体当たりを敢行し続けるブロックを一つ、また一つと撃ち落とし、切り落とす。ファンネル全盛期を潜り抜けたヤザンであるからこの程度の芸当はわけもない。
ピピニーデンはその目を歪な弧にしてモニター越しにヤザンを睨む。
「ド
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