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ヤザン・リガミリティア
獣と龍と
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だ!!」

 

四散しないまでも、爆炎に突っ込んだ幾らかのビットは火を噴き上げ小規模な爆発を繰り返しながら炎の隕石となってブロッホ機へと降り注ぎ、その熱源センサーを妨害してブロッホを大いに焦らせる。

V2は下降したのだから、という意識がブロッホの視線を下へと向けた。

だがヤザンは既にドッゴーラの下面を通り抜けて背後へといたのは、このマシーンの長所でもある長い尾がもたらす死角に沿って滑ったからだ。

 

「まずは一匹…もらったァ!!」

 

「っ!?う、後ろ――っ!!!」

 

ビームの熱線がブロッホという人間の物質を、短い断末魔の後にこの世から粉微塵に消滅させて後には彼の痕跡は何も残らない。

だがヤザンはそんな戦果は前菜であると言わんばかりに即座に視線を滑らせて動いた。

 

「次は貴様だ、ベスパカラー!」

 

「ブロッホがやられた!?

ビットまでがあんなに巻き込むとは、役立たずのオールドタイプが!

ブロッホめ、死ぬなら一人で死ねばいいものを!!」

 

だがまだビットの残りはざっと50以上。

ドッゴーラの長大な尾の全てのブロックを脳波コントロール可能なブロックビットとしてあるピピニーデン機は、往時のファンネルに比べれば的も大きくもっさりした動きしか出来ない。

だがそれでもその遅さを補って余りある数≠ニ、そして多少の爆発に巻き込まれようとも無事に稼働する堅牢性があった。

その無数のビットを操作してみせるピピニーデンも、やはりこの時代に相応しい強化人間といえた。

 

「その機体も限界だろう!」

 

V2の左バインダーから漏れるスパークがより大きくなっているのを見て、ピピニーデンは僚機をやられようとも変わらぬ自信を堅持している。

 

「やはり遅くなった!貴様の動きが見えるぞ、ヤザン!!」

 

宝珠ビーム・ガン付きのブロックビットを左右に散らし、牽制。

ちょろちょろ小蝿のように動き回るヤザンの動きを制限し、そのままビームの連射で片を付ける。そういう目算だ。

ヤザンはコクピットを貫かれて沈黙する青いドッゴーラを盾としつつ、その尾を引っ掴むと、それをV2のパワーでもって力任せに投げつける。

無論、その方向はピピニーデン機。

 

「邪魔ァ!!」

 

ピピニーデンがトリガーをベタ押しすれば、ドッゴーラは己に蓄えている攻撃的兵器の全ての火力を解放する。

恐ろしい弾幕だが、V2が消耗しているようにもはやドッゴーラも消耗している。

ミサイルも弾薬切れを起こし、長々と分離し単独行動していた宝珠ビーム付きのブロックビットはもう縮退メガ粒子残量は雀の涙だった。

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