宇宙の魔獣・カイラスギリー その4
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よ」
偽ジャハナムにそう返すオイ・ニュングだったが、
しかし心ではそれも難しいと考えてしまっている。
(戦況はこちらが有利に傾きつつある…
だが、まだとても艦隊を抜いてビッグキャノンに取り付ける程には…)
確かに有利に傾きつつある。しかし、それは本当に徐々に、という程度なのだ。
ザンスカール艦隊は未だ算を乱す事なく健在であり、
このまま攻めていけば勝機は見えるだろうが
短時間で突破し衛星砲を破壊するとなると話は全く変わる。
撤退するにしても纏まって逃げてはビッグキャノンの餌食だろうし、
散り散りに逃げてはザンスカールの追手に各個撃破されるだろう。
ゴメスも伯爵も、他の面々も、その顔色は決して良くはなかった。
――
―
損傷激しいシュラク隊を母艦へと帰し、ヤザン隊は快調に敵を撃破していく。
ヤザン隊は、引き続き先頭切って敵を打ち倒さねばならない義務のあるエース部隊だった。
しかし敵のエース部隊と思しき新型部隊コンティオ戦隊を破ってからは
取り立てて困難な敵ともぶち当たっていないから、
ヤザン隊は敵を倒すのと並行して流されたペギーのガンイージを探索していた。
「早く、早くこいつらを倒さないと…!ペギーさんが危ないんだ!邪魔をしないでよ!」
ウッソは手早く高効率にベスパを屠っていくが、それは漂流中の仲間を思っての事。
仲間の為ならばどんな敵の命も容易く奪うのは戦場では極めて正しい。
(…良い傾向だが、13歳でこうなれるとはな。元々の才能と環境もあるにはあるが…)
ゾロアットを無慈悲に始末していくヴィクトリーを見ながら、
ヤザン・ゲーブルは己の領域に子供を引きずり込みつつある現実を思う。
それはもう一方の僚機にも言えることだ。
「己の意思も無く!ただ宗教に狂って戦争をしているあなた達は死んで当然なのよ!」
カテジナ・ルースも、ウッソと同じく躊躇いの欠片も示さずベスパを処理≠オていく。
カテジナとてまだ17歳。
ティーンズ10代であり、世間一般からすれば紛れもない子供の範囲内である。
ハイランドでの遭遇戦から、そしてこのカイラスギリー戦においても、
カテジナは水を得た魚のようにめきめきと上達をする。
正に今、この瞬間も彼女は成長しており成長率で言えばウッソでさえ舌を巻くだろう。
かつてヤザンが嫌った女子供が、
こうもスペシャルな存在であるのを証明するのは皮肉であった。
(…女子供に頼るなんざ
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