宇宙の魔獣・カイラスギリー その2
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す。
有線式クローの連続使用は負担が大き過ぎます」
そう言われてピピニーデンは「む」と小さく唸った。
確かにコンティオのショットクローは非常に強力だ。
ケーブルが届く範囲であれば戦場の好きな位置に配置でき、
遠距離から近距離まで奇襲強襲何でもこなせる。
過去、遠隔兵器に必要とされた『ニュータイプ』という才も要らず、
誰でもオールレンジ攻撃が出来るスグレモノだった。
が、それだけに操作が複雑で、自在に使いこなせるのはピピニーデンとルペ・シノのみ。
地上でベテランの隊員を多く失ったピピニーデン・サーカスの追加パイロットは優秀だが、
戦闘中のショットクローの長時間使用は操縦の負担となっているのだった。
ピピニーデンは副官の進言に一理あると頷いた。
「…確かに3番機以降の動きが悪くなってきたかもしれん。
よし、ルペ・シノ…一気に仕留めるぞ」
「はっ!」
ルペ・シノのコンティオが離れると同時に隊長機が信号弾を撃ち出して、
宇宙に二色の光が瞬いた。
その途端、コンティオ戦隊が行動パターンを急変させる。
シュラク隊も勿論気付く。
「なに?」
「動きが変わった…!」
弾も切れ損傷が深まったジュンコ機を拾い上げたケイトが、
ジュンコを庇うようにライフルでなけなしの牽制をし続け、
ジュンコのガンイージは残ったシールドで懸命にケイトの死角を防御する。
ジュンコは決して自分を見捨てろとも言わぬし、ケイトも言わせない。
互いに生き延びてみせるという執念がシュラク隊には根付いており、
野獣から受け継いだ極限生存者サバイバーのしぶとさがそこにはある。
パターンを変えたコンティオがビームライフルと胸部メガ粒子砲を絞り連射しつつ突っ込む。
5機が突撃パターンとなり、2機が支援の形だ。
コンティオ戦隊の先陣を切ったのは、
ピピニーデン・サーカスの生え抜きであり叩き上げの副官ルペ・シノ。
彼女は肉感的な唇を舌舐めずりで濡らして目を見開き、
それはコンティオの複合複眼式マルチセンサーと連動し心通わすが如くであった。
「今度こそ仕留めてあげるよ…ふふ」
ほくそ笑むルペ・シノに率いられたコンティオ達がスラスターを眩しく噴かし踊るように翔ぶ。
「く、そぉ…!」
リップを塗った唇から血が滲む程にジュンコは噛み締める。
いよいよその時が迫っていた。
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