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ヤザン・リガミリティア
野獣好きのバグレ
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てくれ」

 

「冗談さ」

 

「わかっているよ。…時間だ、行こう」

 

そう言ってオイ・ニュングは艦橋を後にする。

「やれやれ」とブツクサ言いつつヤザンもそれに続き、

雑談を交わしながら二人はガウンランドへと向かった。

今からあの偽ジャハナムと会談して挨拶をせねばならない。

彼は本質的には悪人ではないし、

ああ見えて追い詰められると肝の座りようも立派な男なのだが如何せん普段は俗物だ。

ヤザンとオイ・ニュングも皆の手前、表立ってはタヌキ親父をたてて見せねばならない。

でなければジン・ジャハナムの影武者としての役割が死んでしまう。

 

リーンホースとガウンランドが接舷し

伯爵とヤザンがノーマルスーツで甲板に降りようとした時、

ウッソ・エヴィンがヤザンに待ったをかける。

 

「あの…ヤザンさん、伯爵」

 

「どうした」

 

ヤザンが返すと今正に甲板へ飛び出そうとしていたオイ・ニュングも足を止め振り返った。

少年は少しだけ口の中でもごもごっとして続ける。

 

「あの、僕も連れて行ってくれませんか」

 

ヤザンが軽く眉をしかめる。

 

「何故だ?」

 

「えぇと…その、

僕も一度リガ・ミリティアを率いるジン・ジャハナムという人とお会いしてみたくて」

 

ヤザンと伯爵が向き合って目で会話をした。

ウッソは説得を続けた。

 

「僕もリガ・ミリティアに入ったからには

見事な采配を続けるジン・ジャハナムさんにお会いしたいんです。

一度だけでいいんです。お願いします、ヤザンさん、伯爵!」

 

深く頭を下げて懇願する少年。

ウッソは憧れの人に会いたいと、そう言う。

しかしヤザンはマーベットやシュラク隊の面々からウッソの父の事は聞いていた。

 

「…ウッソ、別に隠す必要はない。

ジン・ジャハナムが父親かもしれないと思っているんだろう?」

 

「えっ!そ、それは」

 

なんで知っているんだという顔のウッソがヤザンをぱちくりと見る。

 

「マーベットからな…。

そういう場合は素直に頼め。俺とて意地の悪い妨害はせん」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

しかしヤザンは「だが」と少年を遮った。

 

「今から俺達が会う相手は貴様の父親ではないと断言できる。

それでも来るか?」

 

「なんで断言できるんですか」

 

「貴様とは似ても似つかないからな」

 

フッとヤザンが笑う。

そんなに違う顔なのかな、
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