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ヤザン・リガミリティア
野獣好きのバグレ
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見える真正面の宙域でヤザンは、

見せつけるようにアビゴルのスラスターを吹かして宙返り等をしている。

まるで童が紙飛行機で遊ぶが如くで、

誰から見てもヤザンが楽しげに遊んでいるのが分かった。

 

「伯爵、誰か上げてくれ。相手をさせたい」

 

ヤザンはアビゴルのテスト相手という名目の遊び相手を欲するが、

 

「皆が皆、君みたいにタフじゃないんだ。

カイラスギリーとの対決が間近に迫っているからゆっくり休ませてやってくれ」

 

オイ・ニュングはごく当たり前の気遣いを発揮し、ヤザンも特に異論無く同意する。

どうやら最初から本気では言っていないらしい。

 

「そうだな。仕方ない…一人遊びで我慢だな」

 

笑いながら宇宙を飛ぶヤザンだが、伯爵との通信に突如として割り込む者がいた。

 

「私でよければ相手してあげるわよ」

 

「んン?カテジナか?貴様、何故休んでおらんのだ」

 

聞こえてきた声の持ち主はカテジナ・ルース。

今はシュラク隊やマーベットと共に

女性寮で浮遊防止ベルトと毛布に包まれて寝ている筈だったが…。

 

「艦長!伯爵!シャッコーが動き出してます!」

 

ハンガーからの通信が再度割り込む。

カテジナが今どこにいるか、ヤザンや伯爵達はすぐに察した。

ゴメスがでかい声で「休むのも仕事のうちだぞ!嬢ちゃん、降りろ!」等と言うも、

どうやらカテジナには届いていないらしい。

シャッコーは歩を進めてハンガーの隔壁の前に陣取った。

 

「シャッターを開けなさい!ヤザンと訓練をするだけよ!」

 

「命令は出てないんだよ!カテジナさん降りなさい!勝手は許されんぞ!」

 

スピーカーで叫ぶシャッコーの足元でオーティスが窘めようとするが、

リーンホースの艦橋横にMS形態となっていたアビゴルが取り付いて笑っていた。

 

「わがままなお嬢様には俺がガツンとやっておいてやる!

いいからそのまま出してやれ。アビゴルのテストにも丁度いい。

それに隔壁を壊されちゃ敵わんからなァ!」

 

ヤザンがそう言えばゴメスもオーティスも、伯爵もやれやれと溜息をつきながら諦めた。

この教師にして教え子あり…という事らしい。

ヤザンとカテジナには似通った豪快さ≠ェ見え隠れするのを見て、

オイ・ニュングは秘かに微笑んで止めるでもなく場を見守り、

ゴメスがチラリと伯爵を見れば伯爵は肩を竦めながら笑って頷いた。

 

シャッコーの行く手を阻む隔壁がゆっくり上がっていく。

カテジナはニヤッと笑って、


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