獣の安息 その3
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高くもあった。
もっとも…新世代の連邦側のマシーン共が不甲斐ないのは
偏に連邦政府の怠惰のせいであるので、ヤザンとしてはより一層複雑な面持ちではある。
(嫌って程世話になったが……
まさかサラミスが1G環境下でも稼働する日を目の当たりにするとはな)
細かいディテールは変わっているが、大まかは全く一緒だ。
カラーリングまでも見慣れたグレーとレッドのライン。
フと、まるで自分がまだ1年戦争の中にいるかのような懐古感がヤザンを襲う。
「老け込んでいられんって?そんな心配ないでしょう、た・い・ちょ・う?
昨晩、私達相手にあんな事しちゃってさ」
ヤザンの肩にヘレンがしなだれてもたれかかる。
彼女の唇にひかれたリップも、気のせいかいつもより艶めかしい。
「俺が1人で酒飲んでいた所になだれ込んできたバカ共はどこのどいつだ」
「私じゃないですよ。最初はケイトでしょ」
やかましいと小突かれて肩からどかされるヘレンは、
それでも嬉しそうに笑ってヤザンを熱い目で見ている。
そんな女の目線を切って捨ててヤザンは皆を振り返って大声で言った。
「全員、乗船準備!あのリーンホース≠ェ今日から俺達の寝床だ!」
皆の視線が、サラミスに曳航されるクラップ級艦に注がれる。
リーンホースはジブラルタルの陽に照らされて古ぼけた外装を鈍く輝かせる。
鋼鉄の老いた巨馬は波間に頼りなく漂うのだった。
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