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ヤザン・リガミリティア
爪研ぐ獣達
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1人もいなかった。

 

 

 



 

 

 

アーティ・ジブラルタルに一足先に向かったベスパに追いつき、

また現地で全力戦闘を可能にするためには輸送機を使った方が良い。

輸送艇による移動の方が推進剤も節約が出来るし、

MS単機で空を飛んで高速移動をするよりは輸送艇での方がやはり足は速い。

現代の第2期MSは単機による長時間の安定した空中移動が出来るが、

高速飛行という点ではそこまで桁違いの優秀さはない。

旧第5世代MSにその点では劣ると言えるが、

そもそも第5世代MSはハイエンドモデルで数機しか存在しておらず、

現在世界中で量産され存在している第2期MSとは注がれた手間や資金力の桁が違う。

それぞれに一長一短があり一概に比べられるものではない。

 

カリーンの地下アジトに駐留していたMS隊が飛び立って、

ポイントD.D.…つまりベチエンに来ると

そこにはかなりの数の旧式輸送機ミデアがエンジンを温めた状態で停まっていた。

 

(…ミデアとはな。何とも懐かしい御同輩の登場だ)

 

10mを超える巨大スコップを持ったジェムズガン達が整備した即席滑走路を歩くヤザンは、

ずらりと並んだ懐かしき黄色いオンボロ母鳥達の錆びた装甲を見て微笑んだ。

ミデア以外にも旧ベチエンの飛行場には所狭しと部隊が駐留していて、

各スタッフがこれまた所狭しと慌ただしく動き回っていた。

だがその中で異彩を放つのが軍服を纏う正規軍人である連邦からの人員だ。

精気溢れるはきはきとした動きを見せるレジスタンスと違って、

軍服組は非常にもさもさとしていて見るからにやる気がなかった。

 

「あんたらをジブラルタルまで運ぶロベルト・ゴメス大尉だ。短い付き合いになるが宜しくな。

搬入が終わり次第出られるようにはしてるぜ」

 

連邦の士官帽を雑に被った壮年の男性が古い輸送機のすぐ横で、

リガ・ミリティアの各部隊を出迎える。

カミオン隊、ヤザン隊、シュラク隊の中核部隊だけでなく、

各地の小アジトから来たMS隊、武装車両隊、航空隊もいて、

連邦の旧式MS隊もちらほら姿が見える。

各地から掻き集めたリガ・ミリティアの欧州方面の殆ど全部隊がここに集っていたのだった。

サポートスタッフの代表格であるオイ・ニュング伯爵とまずは握手をして言葉を交わし、

次いで戦闘スタッフ代表のヤザン・ゲーブルがその手を握った。

 

「リガ・ミリティアのMS隊統括ヤザン・ゲーブル大尉だ。

アイルランド隊の噂は聞いている。

給料泥棒の名の通りの働きではない事を期待
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