爪研ぐ獣達
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めいて、
ヤザン隊のMSパイロットの面々も口を開く。
「南西…数日前に、私達が遭遇したのもそのせいだったんだわ…。
ヤザン隊長にあれだけやられて、また南西に出撃するなんて」
ジュンコが言う。
「やっぱりあの人達の目的は別のものだったんですね。シュラク隊じゃなかった…」
ウッソも言いながら、ヤザンの目を見ていた。
ヤザンが頷く。
「南西といやぁジブラルタルだ。そこが目的というのは有り得る話だな。
ラゲーンには宇宙そらへの打ち上げ施設が不足しているし、HLVの類も保有していない。
もし奴らが今すぐ帰りたいならジブラルタルしかない」
推測が飛び交っていたが、
伯爵が皆を制すると静まった所で宣言した。
「そうだ。今、ヤザン隊長が言った通りだ!
ベスパの目的はアーティ・ジブラルタルの武力占拠にある!」
皆のどよめきは最高潮に達する。
ジブラルタルの武力占拠…。
それは宇宙世紀に生きる現人類にとって許される暴挙ではない。
宇宙開拓時代の始まりを象徴する人類の遺産であり、
今も宇宙と地球を繋ぎ双方の資源、財産、人…数々の輸送を行う実利を齎す至宝なのだ。
伯爵は強い口調で皆に言い続ける。
「このような暴挙を許してはならない!
ベスパは宇宙引越公社PCSTに恭順要求を突きつけた。
人類の宝の首元にギロチンを突きつけたということだ!
既にベスパの大軍はアーティ・ジブラルタルに迫っていて、
引越公社は我々にコンタクトをとりベスパの侵略から守って欲しいと助けを求めている!
宇宙に帰りたい形振り構わないザンスカールから引越公社のマスドライバーを守れば、
リガ・ミリティアは一気に世界から強固な支持を得られるだろう!
そうすれば地球連邦の中から、さらに第2第3のバグレ、ムバラクが生まれる!皆、やろう!」
伯爵の声に応え、皆の間から歓声が挙がる。
多くの者が拳などを振り上げ、
士気が高まり大部屋の中は熱気立ちそうな程の気炎に満ちていた。
だが、ヤザンは独り腕を組んでその様子を極めて静謐な思考で眺めている。
(伯爵め…中々盛り上げ上手だ。流石だな。
煽り屋アジテーターでなければレジスタンスの幹部等やっていられんから当然か…。
しかし、気になるのはベスパ共の動きだ。
ラゲーンはザンスカールの地上最大の拠点だ…失えば地上で補給がきかなくなり、
リガ・ミリティア以下のゲリラ集団に成り下がるしか道は無い。
そんなことは奴らだって分かってる筈だというのに空き家にする…。
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