蜂を囚える獣
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っていた。
「ロメロ!武器の2つ3つはセットしたが、マーベットはこちらに来てくれるかな!」
伯爵が老人に叫ぶと、ロメロは「どうですかな〜?」と首を捻るばかり。
思わしくないようだ。
オデロ少年が、まるで他人事じゃないか!と叫び憤慨を顕にしていた。
「伯爵、もう1機だすか?」
ちょび髭と丸メガネが特徴的な老人が増援を提案する。
この老人、オーティス・アーキンズは本職はメカニックであり、
また牧師の資格も持っている多才な男でパイロットの真似事もできる。
リガ・ミリティアはレジスタンス組織であるためこういう変わり種も多いのだ。
オーティス老の提案を、伯爵はやや考えてから首を横に振る。
「オーティスが出るというならだめだ。
エンジンのスペシャリストが潰れたら誰がヴィクトリーの面倒をみるんだ」
「しかし…このままじゃマーベットが」
「うむ…だが、ロメロの口振りじゃもう少しもちそうだからな。
マーベットはもつんだろう!ロメロ!」
伯爵が再度、昇降台のロメロ爺さんに尋ねるとロメロは頷いた。
「ええ、さすがはヤザン隊です!のらりくらりと上手く躱してますわい!」
その言葉を聞いて、伯爵は満足気な顔となる。
「ならそのまま凌いでもらおう。後少しで迎・え・が来る予定なんだ。
随分焦れている様子でな。一人で来るそうだ…無茶な男だよ…はっはっはっ」
笑った伯爵の様子が全てを物語っていた。
そして、この状況でも自信あり…といった風の伯爵の表情を見て
何かを悟った周りの者も緊張した面持ちが幾分気楽なものへと変わっていた。
「誰だよ、誰が来るっての!?1人の迎えが何になるのさ!笑っちゃってる場合かよ!」
呑気さを見せ始めた老人達とは違い、オデロは相変わらず必死に叫んでいた。
まだリガ・ミリティアの野獣のことを知らない少年少女達が
未だ焦っていたのはしょうがないことだった。
◇
コア・ファイターのマニューバがもたついて見えるが、
それはマーベットの巧みな緩急をつけた動きのせいだった。
もたついた…と見えた次の瞬間には鋭いカーブを描いて刺すような軌道を描く。
「くそっ…あの白い戦闘機、速度はそうでもない筈なのに思ったより速い!」
クロノクル・アシャーは、モニターに表示された計器画面を見ながら悪態をつく。
コア・ファイターと、自機であるシャッコーの現在の飛行速度は大差ない。
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