蜂を囚える獣
[11/11]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
それにビーム刃を発生させたままのライフルをそのまま身で受けるのは危険過ぎた。
切らざるを得なかった。
そして、当然その巨大なライフルは爆発した。
MSの爆発程ではないが、目前でライフルが爆発したのだから結構な振動が機体を襲う。
視界もセンサー切り替わりの僅かな間、曇る。
その瞬間に、機体に妙な振動と音が伝わった。
爆発の振動ではない。
何か、硬いものが…装甲と装甲がぶつかったような振動であり音だ。
(破片か?)
クロノクルがそう思った瞬間だった。
「ぐあああっがあ゛あ゛ああっっ!!!?」
猛烈な痛みが彼を襲う。
痛みなのかどうかすら理解できぬぐらいのショック。
寒気すら感じる程の灼熱が彼を焼いた。
体が、人間がこんな動きをするのか、という程度に跳ねて痙攣する。
「海ヘビを喰らいな!」
海ヘビが接続されたことによる『お肌の触れ合い通信』が
ヤザンの声をクロノクルの耳にクリアに届けるが、もはやクロノクルに意識は無い。
ヤザンはライフルを捨ててから僅かにバック。
少年を抱える左手を引き庇うと同時に即座に右腕内に格納していた海ヘビを展開し、
そして敵コクピットの装甲ど真ん中に海ヘビの牙を食らいつかせた。
ビームストリングスを盗用して改良した海ヘビは、
本来5本のワイヤーが放射状に射出されるのを一本に束ねたもの≠ニ言って良い。
ビームストリングスは放射状故に命中させ易く、
ゾロアットに標準装備されている程使い勝手が良いが、
ヤザンらが活躍した時代…
この手の武器はムチ状であったりして癖があり命中精度に難があった。
ベテランしか使いこなせなかった武器なのだった。
だが、その分コンパクトにまとまっていてどんなMSでも隠し持つ事が出来た。
ヤザンはビームストリングスを取り回しやすい形に先祖返りさせ、
そして束ねた分威力も向上を見た。
クロノクルはビームストリングス5本分の電撃を一箇所に食らったのと同じ。
敵の新型をなるべく無傷で得る事を画策したヤザンはすぐに電撃をOFFにしたが、
それでもパイロットは瞬間的にボイルされ、
命の危険があるレベルにまで火傷を負わされていた。
「フッ…、思いがけず良い手土産もできたな」
ぐったりと動かなくなったシャッコーとクロノクルを見て、
ヤザンは獣染みた凶悪な笑みを浮かべていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ