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ヤザン・リガミリティア
潜む獣
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ん達のファンもいるんですよ!

見ちゃいられませんって!程々に頼みますよ」

 

「なら見るなってんだ!関節も頼むぞ!」

 

レーションの乾いた肉を乱暴に齧りながら言うヤザン。

パイロットは整備士に命を預けているようなものだから、

ヤザンも整備士達には幾分丁寧な物言いをするし気も使う。

だが、

 

「ヤザン隊長ぉ…その…トイレ行きた――」

 

部下のパイロットにはその限りではない…。

未熟な訓練生となれば尚更だ。

マヘリアがオープンしたハッチにもたれ掛かりながら言いかけた時、

 

「なんのためにトイレパックがあるんだ!それで済ませろ!」

 

8時間ぶっ通しの戦闘機動訓練でさすがのヤザンも体が熱いらしく、

鍛え上げられた上半身を剥き出しにし腰にノーマルスーツの上半分を垂らして怒鳴った。

 

「ええー!横暴ですよ!私達嫁入り前の乙女なのに!!」

 

引き締まったヤザンの半裸に

眼福とばかりに目を奪われる美女達だが文句を言うのは止めはしない。

マヘリアに続いてケイトやヘレンもぶーぶーと文句を垂れる。

しかし初対面時のような険悪なムードは無く、どこか予定調和的な長閑な雰囲気さえあった。

 

「だったらパイロットなんざさっさと辞めるんだな!

実戦になったらトイレ休憩時間など敵は待っちゃくれんぞ!

文句を言う暇があったら胃に何か入れておけ」

 

ヤザンの言うことは正しいと彼女らも分かってはいる。

実際、この地獄のブートキャンプに来る前の赴任地でも

何度かトイレパックを使う機会はあったが、

できるならそんな事態は避けたいのが乙女心だ。

それに、一回の戦闘でこんな長時間に及ぶことはそうそう無く、

トイレパックをここまで使用したことは彼女らも無い。

つまり、すでにトイレパックはパンパンなのだ。

 

「うぅー…ヤザン隊長!もうトイレパックはいっぱいなんですよ!」

 

自分の排泄量お通じ事情を悟られそうで非常に言い難かったが、

ケイトは正直に事情を告白する。

勝ち気な彼女も、さすがに頬を赤らめていた。

が、ヤザンはやはりというか歯牙にも掛けない。

 

「そうか。ならノーマルスーツの内側にクソとションベンが纏わりつく感覚を味わっておけ。

良い機会じゃないか!ハッハッハッハッ!」

 

なんとも愉快そうにこの男は笑うのだった。

乙女の恥じらいを賭けての必死の告白は見事に散った。

 

「鬼!悪魔!セクハラ野郎!!」

 

ケイトは赤ら顔で叫んだ。ヤザンは笑って流すだけで
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