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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
三笠の偉い人達に尋問される話
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ろう」と用意していた女の子用の名前を付けられてしまった。

物心ついた時から、僕は冷遇されていた。

よく出来た2つ上の兄の存在。
勉強ができ、賢く、テストなんかではほぼ必ず満点を取ってくるし。親戚一同からは神童だの将来は博士か総理大臣だとやたら持て囃された。

対して勉強のできなかった僕は良くされて貰えず、何をやってもダメな人間だった。
勉強はできず、両親の思うような成績は残せず、生まれた瞬間からこうして両親の期待を裏切り続けてきた僕は家庭において厄介者のような扱いも受けた。

それを見て、兄はどんどん調子に乗る。

自分は素晴らしい人間だ。
他より優れている人間なんだ。

だから両親がしているように、自分も劣っている人間を差別していい。

勉強ばかりでストレスは溜まる一方なんだ。
何も出来ないなりに俺のストレスを発散させろと、無茶苦茶な言いがかりをつけられたこともある。

そういったこともあり、兄の人間性はどんどん歪んでいく。

幼少期から持て囃されてきたせいでその自信は傲慢へと代わり、当たり前のように人を見下し、
何かあれば議員である母に頼み込めばなんだってしてくれる。


受かって当たり前の受験に合格し、医大でモテまくり、そして父親の病院を継ぐ。
そんな順風満帆の人生設計図を思い浮かべていた彼だが、ここであまりにも脆いその設計図は崩れ落ちる。

僕、葛城舞が家を飛び出したことによって。





「いわゆる、エリートってことか。」

一通り僕の話を聞き、院長先生が頷きながらそう答えた。

父は医者、母は政治家。そんな優れた人間から生まれたのだから兄は間違いなくエリートだ。

「ところであなたは?」
「得意なことなんてありませんでした。絵を描くことが好きなだけで。」

と、笑って答える。
勉学は秀でてないし、運動もまるでダメ。
親戚の集まる場所では本当にあの二人の子か?と疑われたし、何より両親から「うちの子だと思われると恥ずかしいから私達のことは名前にさん付けで呼びなさい。」とまで言われた。

「現状が嫌になって、それから家を出ました。」

何かを打破すべく、僕はこの地獄のような家庭から抜け出した。
荷物をまとめるだけまとめて、あてもないけど出ていく。

ホームレスになることだって考えた。

家がないくらいなんだ。
こんな地獄にいるよりかは死ぬほどマシだと思い、出て行った。

「両親は?止めなかったの?」
「母からは気をつけていきなさいと言われ、父からは寂しくなるな。と新聞を読みながら言われました。」
「……。」

僕一人が居なくなっても、この家庭はなんの問題もないんだ。
両親の言葉からそう察し、なんの後悔もなく出て行った。

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