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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
外法には外法をぶつける話《前編》
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だ嬉しいですし、感謝でいっぱいです…こんな役立たずで、どこに出しても恥ずかしい三流サーヴァントのゴッホを…。」
「……。」
そんなことを言い、少し沈黙が流れる。
仕事からは目を離さず筆を動かし続けるお栄ちゃんはそれから一旦筆を置くと、改めてゴッホちゃんに向き直って言った。
「そっくりだ。」
「へ…?」
「言われなかったかい?昔のマイにそっくりだってナ。」
似ている。
昔の僕に。
これは会ったばかりの頃、僕自身も思ったことだ。
「マイから聞いたヨ?あのクソ兄貴のせいで絵が描けなくなったってナ。」
「はい…お兄様も過去に…」
「ああそうサ。経緯こそ異なるが境遇はまるで同じ。マイはそんなごっほ殿を見て昔の自分と重ねて見てたんだろう。」
他にも色々な理由があるかもしれない。
でもまず、自分と似ている彼女を見て抱いた感情は
「似ているからこそ守ってやりたい。自分みたいになって欲しかねェ。そう思ったんだろ。」
「だと、思います。お兄様は、とてもお優しい方です。それこそゴッホなんかじゃ釣り合わないくらいに…」
「自分に自信が持てねぇトコも、まるで同じだ。」
「はうっ…。」
守りたい。違う、守らなきゃいけない。
僕が守らなかったら、この子は誰が守ってくれるんだと。
そこから錯覚して、僕は彼女を妹としたのかもしれない。
「昔のお兄様は…ゴッホそっくり…。」
「まぁナ。今でこそ考えられないだろうがとにかくねがてぃぶ?でナァ」
それから少し昔の話を始めるお栄ちゃん。
あいつのせいで絵を描くことが出来なくなったこと。
思い切って家を飛び出したのに、その性格までは治らなかったこと。
僕みたいな人なんか。僕にはできない、僕は日の目を浴びていい人間じゃない。
とにかくネガティブな発言が目立ったこと。
それもこれも、何もかも、話を聞いていくうちにゴッホちゃん自身もまた自分に通ずるものがあると思った。
「でも…。」
「うん?」
「お兄様があそこまで明るくなれたのは…北斎様のおかげ…なんですね。」
僕を変えてくれたのはお栄ちゃんのおかげ。
そうやって言うと、決まってこう返す。
「なァに言ってんだ。変わったのはマイ自身だ。おれはほんのちょいと背中を押してやっただけサ。」
自分は少し手伝ってあげただけ。
そう言って笑い飛ばす。
本当はそう言われて嬉しいのは知ってる。
照れ隠しみたいなものだ。
「んでもまぁ今のマイを形作るのにもう一人…いやもう一騎のさあばんとの事を話さなきゃならねぇんだが…そいつぁ長くなるからまた今度だ。」
「そもそも今回は昔話をしにお前さんを呼んだんじゃねぇのサ。」
といいゆっくりと立ち上がる。
「ナァ?ごっほ殿
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