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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
お礼にあたしは、専属契約を結ばれる
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ていうかなんだ、操作上手じゃない?
すごくスムーズにやってる。

「だから待っ」
「マイ、止めろ。」

止めにかかると後ろから舞さんに羽交い締めにされてしまう。
しかし華奢な体型の通り力はあまり強くない。
さっさと振りほどいてしまおうとしたその時

「離せー!!止めさせろー!!」
「お手伝いします…!!」
「はぁ!?」

プラス前から香子。
もう決めた。今夜は泣いても止めないし許してやんない。

「なになに…『濡れた紫陽花』雨の降りしきる梅雨の時期…私は」
「音読しないでもらえませんか!!!!」



数十分後



「ふふん、まぁ思ったよりはずっと良かったじゃないか。」
「はい…ありがとうございます…。」

結論から言うと、最後までちゃんと読まれた。
最後とはいっても、未完の作品なのだけれど。
さらに読んでいる途中「ここの登場人物はどういう心境なんだい?」とか「どう思いながら書いたんだい?」とか地獄みたいな質問をされた。

「んで、続きは書かねぇのかい?」
「あぁいや…行き詰まったというか書く気が無くなったというか…」
「なんでい。展開的にこれからおっぱじめるところだろう?」

と、北斎は残念そうな顔をして席から立ち上がった。

「折角いい絵が浮かびそうなんだ。書きあげとくれヨ。」
「えっ、」

今なんて?

「なんだい?専属絵師が描きてぇとこ描いちゃいけねぇってのかい?」
「あぁいや、そうじゃなくて…。」

専属絵師の契約はこれにて完了した。
しかし何に挿絵を書くと言った?

あの葛飾北斎が、
あの人に見せられない趣味の掃き溜めみたいな小説に、
是非挿絵を描かせてくれと。

「ほ、本気で言ってます?」
「おう。本気も本気サ。」
「…。」

振り返ると香子。
親指を立てて「やりましたね!」と言わんばかりの表情をしている。

「だから早く完成させとくれ、ナ。」

そう言ってポンと肩を叩かれた。

「じゃあ名作が完成するまでおれたちは待つとするかい。」
「あ、あぁ…部屋ならいくつかあるんで、好きに使ってかまいません。」

ありがとヨ、といい北斎さんはマスターを連れて去っていく。

「よかったですね。葵様。」
「……。」
「え、なんですかその目は…?」

専属絵師になってくれたのは良かった。
ベタ褒めされたのも嬉しかった。
じゃあ終わり良ければ全て良しか?
いや違う。あたしはそうは思わない。

「顔が怖いです。なんですか?」

そもそも香子があんなことを言わなければ、あたしは恥ずかしい思いもせず、事はもっとスムーズに進んだはずだ。

「香子、部屋、行こっか。」

親指で後方を指し、なるべく笑顔で
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